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代表取締役 松原 秀樹
PGV株式会社
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パッチ式脳波計と脳波AIによる市場創造
PGVが取り組むビジネス領域は、ブレインテックと呼ばれ、今後医療・ヘルスケアを中心として高い成長が期待されています。しかしながら、ブレインテックには、克服すべき2つの技術チャレンジがあります。第一に、脳波を正確かつ簡易に計測すること、第二に、単に波形データに過ぎない計測した脳波を意味付けすることです。
脳波は、筋電や心電などに比べ、3桁以上小さい微小な生体信号です。このため、従来は大型の医療用脳波計を使って脳波を計測する方法が用いられていました。ただし、装着にも30分程度の時間を要し、被験者に大きな負荷をかけ、しかも高額なシステムであることが課題でした。
PGVは、電極シートを用いたパッチ式脳波計を世界で初めて商用化しています。50μmと非常に薄くて、伸縮性に優れた電極シートは、前額部にピタッと密着し、被験者の微小な脳波信号を逃しません。FPC (Flexible Printed Circuits) の有力企業であり、電極シートの共同開発企業である日本メクトロンの卓越した製造ノウハウが活かされています。また、優れたノイズ処理技術により、高精度な脳波計測を可能としています。
加えて、27gと小型軽量で装着感を感じさせず、またワイヤレス制御により、簡易な脳波計測を実現しています。
正確な脳波計測に加え、脳波ならではのデータ処理ノウハウや脳波試験設計力が求められます。PGVは、ノイズ処理(試験実施時に発生するノイズの処理対応)、アノテーション(被験者の状態)設定、周波数解析(特徴量抽出)などのノウハウを保有しています。脳波データの前処理ノウハウと言われ、ブレインテックでは必要不可欠なものです。前処理の質が、後処理(AIによるモデル構築や解析)の質や作業効率を大きく左右します。
ハードウェア技術を大阪大学より継承し、それを起点として、数々の脳波試験を実施してきました。これにより、ハードウェアから前処理そして後処理までのノウハウを一気通貫で構築してきました。さらにノウハウをシステム化して、いわばプラットフォームとして保有するのがPGVの強みです。このノウハウ・プラットフォームを活用した脳波AI解析サービスを提供しています。研究機関向けには脳波を用いた研究業務の受託サービス、企業向けにはニューロリサーチサービスを展開しています。
今後取り組み強化を計画しているのは、医療・ヘルスケアの分野での脳波の活用です。神経系疾患の早期判定や治療のバイオマーカーとして脳波の有用性が期待されています。
また、PGVは、「一家に一台の脳波計で、脳の健康管理」をビジョンとして掲げており、一般消費者でも簡単に扱えるよう脳波計のさらなる改良を進め、また、医療・ヘルスケア分野での取り組みを通じて得られるエビデンスを活用することで、将来、家庭向けの脳波計と脳健康管理プログラムの開発を進めていきます。