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北陸先端科学技術大学院大学 知能ロボティクス領域 准教授
HO, Anh Van(ホ アン ヴァン)
- ものづくり
- ライフサイエンス
ソフトロボティクスが拓く新しい未来
ソフトロボティクスは、急速に成長しているロボティクス関連分野の中でも新しい研究分野で、世界的に注目を集めています。ソフトロボティクスが目指すのは、柔らかい材料を使って、従来の硬いロボットでは困難だった動作を実現することです。
硬いロボットの代表は産業用ロボットです。産業用ロボットには力強さと、同じ作業をより早く正確に繰り返すことが求められますが、人間にとっては危険な存在でもあり、工場内ではフェンスに囲われています。
しかし今、ロボットの活躍の場はフェンスを越え、人間の生活環境にまで広がろうとしています。人手不足が深刻な日本のものづくり現場では、人間と協調して働くロボットのニーズがあります。介護サービス分野でも、ロボット技術の活用が喫緊の課題となっています。
より人間の近くで活躍するロボットや、人間と物理的に接触するロボットには「柔らかさ」が欠かせません。一つには安全性のためです。ロボットの表面が柔らかければ、ぶつかっても人間がケガをするようなことはありません。また柔らかさは人間が触れて感じる安心感につながります。
当研究室では、動物や植物の優れた構造や機能に着想を得て、そのメカニズムをロボットの駆動装置(人工筋肉、アクチュエーター)や感覚装置に応用しています。
ロボットというと金属の塊というイメージがあると思いますが、私たちが使用するのは柔らかい材料です。そして、たとえば材料に電圧をかけると膨張するというような機能を利用し、ロボットの筋肉を実現します。
最も難しいのは制御です。産業用ロボットアームであれば、多くは6 軸で構成され、動きの自由度は限られます。しかしソフトロボットの自由度は無制限です。一般的な制御論がないため、それぞれの動きに対してその都度適切な方法を提案しなければなりません。ここには人工知能を活かすアプローチも考えられます。
このようにソフトロボティクスは、材料力学をはじめ、生物学、機械、電子電気、情報など、さまざまな学術分野の知識が求められる分野横断型の研究分野です。私自身もさまざまな分野や職場を経験し、そこで得た知識をどう活かすか考えて、JAISTで本格的にソフトロボティクスの研究をスタートしました。
具体的な研究事例を以下のパネルや動画で紹介します。
▼ ウナギ型ロボット
https://youtu.be/C5XCXhUNN2s
▼ トンボドローン
https://youtu.be/98vQ-xLWREI
▼ 全身触覚センシング技術
https://youtu.be/1zHOD3cJVys
▼ 濡れた食品のハンドリング
https://youtu.be/M3zOaAPQirw