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鳥取大学 工学部 機械物理系学科 准教授
星 健夫
- その他
- 情報通信
AIと高速計算機による先端計測の革新
▼ 見つかった新しい事実
高速計算環境(スーパーコンピュータ・クラウド環境)をネット経由で利用することを前提に,計測分野における高速高信頼AI型解析手法を開発した。誤差やばらつきなどの「不確かさ」(uncertainty)を伴う先端計測では従来はPCで熟練実験研究者の知見と人的試行錯誤でデータ解析を担ってきたが,高速計算環境のハードウェアに最適化されたアルゴリズム利用により,PCでは達成不可能な,高速で高信頼性のデータ解析が実現できる.
▼ その事実による社会へのインパクト
これまで構造決定が非常に困難で物質開発のボトルネックとなっていた物質の構造を容易に決定できるようになり,物質開発サイクルがいちじるしく加速する.たとえば,シグナルが微弱・構造の多様性が大きいといった理由から構造決定が圧倒的に困難である原子スケールの2次元構造も構造を決定できるようになる.
▼ 社会実装・製品展開
高速高信頼AI型解析手法は汎用なので多様な先端計測に適用できるので,材料メーカーや材料測定装置メーカーなどによる製品展開と社会実装を期待する.
(a) 計算機の高速化にともない,クライオ電子顕微鏡(2017年ノーベル化学賞)のように,データ解析のブレークスルーが先端測定を革新しうる.
(b) 現状,大半の測定は,データ解析にPCを用いている.
→高速計算環境(スーパーコンピュータ・クラウド環境)のネット経由利用を前提とした,高速・高信頼データ解析ソフトを開発し,革新を目指している.
(c) 手法は汎用で,材料メーカー・材料測定装置メーカーを主に想定し,産業展開を目指したい.