東京都市大学 理工学部 電気・化学専攻 教授

岩尾 徹

  • エネルギー
  • 社会基盤

超高温プラズマの新しい取り組み

—新エネルギー発電やワイヤレス送電の開発から、鉄道、ロボット、宇宙推進まで—
大電流や放電プラズマをベースに、新エネルギー発電、ワイヤレス送電、鉄道、宇宙推進、金属加工、ロボット、遮断器の研究を行っています。大規模かつ複雑な超高温プラズマの3次元電磁熱流体解析のシミュレーションの開発や、この3Dシミュレーションと3Dプリンタ技術を活用し、従来にはない製品の研究開発や高性能化、コンパクト化の実現を目指しています。また、超高速計測と制御、電力取引アルゴリズムの開発なども行っており、ハードとソフトの両面の対応が可能です。これらの研究は、量子力学をベースに、計測通信制御を切り札とし、超高速計測、画像処理、パワーエレクトロニクス、3次元電磁熱流体解析、LabVIEW、MATLAB/Simulink、CPUの並列計算とGPUコンピューティング、AIを駆使しており、超スマートエネルギー社会の実現に貢献しています。

 

▼ 研究の進め方
—実験とシミュレーションを両方取り組んでいる二刀流で道を切り開きます—
当研究室では、実験とシミュレーションを両方取り組んでいるのが特長となります。実験では、学生に「安全は何よりも優先する」ことを徹底して教育するほか、超高速計測制御技術を駆使して、複合的な課題の発見と解決の能力、創造力を重視し、仮説やモデル、そしてそれを実現するための装置作りや実験条件設定の大切さ、データを取得するための計測と解析技術、並びに、技術者倫理を教育します。シミュレーションでは、当研究室が独自に開発した独創的な3次元電磁熱流体シミュレーションのプログラムを用いています。当研究室では、スーパーコンピュータを用いているわけではないため、より大規模かつ複雑で精度の良い計算ができるわけではありません。しかし、本質を捉えた仮説とモデルを立て、1~2週間程度で解を出すことができる範囲のシミュレーションを行っています。試行錯誤を繰り返しながら、新しい知見を得て、プログラムにPDCAをかけていくことで、前に進めていく形をとっています。一人一人は小さな力ですが、「まずはやってみなはれ」の精神で常にみんなで協働しながら挑戦するという研究室の理念により、他の研究機関では実現不可能な創造性のある研究をして成果を出すことができています。

 

▼ 社会との接点
—電力、電力商取引、ロボット、電気推進、溶接、切断、人工太陽、リサイクルまで—
電力の発生では、核融合をはじめとした次世代エネルギー源の開発に向けた超高温プラズマの研究が、電力の輸送では、スマートコミュニティの構築に向けた系統保護や開閉保護と変電技術、絶縁破壊や落雷などの事故対策に関する技術が、鉄道や宇宙機などでは、電力供給や推進技術が求められます。更に、放電プラズマの応用では、循環型社会の実現に向け、金属加工における溶接や切断、溶融炉、廃棄物処理、リサイクル、表面処理技術に対する要請が高まっています。この他、大規模照明やテスラコイルによる無線送電、レールガンの実現などもあります。これら基礎研究にて培われた技術を活かし、活発に企業とプロジェクトを組み、産学連携や共同研究を行うことで、社会に貢献する取り組みをしています。

具体的には、電力の発生では、将来のエネルギー源(人工太陽)の開発に向けた超高温プラズマの研究が、電力の輸送では、スマートコミュニティー構築に向けた系統保護、開閉保護、変電、落雷等の事故対策、フィジカルとサイバーを融合させた電力商取引のアルゴリズムに関する各技術開発が求められています。さらに、放電プラズマの応用では、照明や電気推進の他、循環型社会の形成に向けて、金属加工における溶接や切断、3Dプリンタ技術を応用した3D金属加工ロボット、廃棄物処理やリサイクル、表面処理、プラズマスラスタ、宇宙推進装置の開発に関する各技術開発なども求められています。

 

▼ 目指す未来
—超スマートエネルギー社会を実現します!—
当研究室は、文理融合を図り、技術や組織のボーダーを超えて、心に学びの灯をともし続けることで、工場、金融、交通、水、医療、農業、都市、電力エネルギーネットワーク、情報通信を連携かつ融合し、より豊かな超スマートエネルギー社会を実現します。