物質・材料研究機構 構造材料研究拠点 解析・評価分野 環境疲労特性グループ 主任研究員

宮原 健介

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微小球反発試験機ー汎用高性能な硬さ試験機

1. 微小球反発試験機とは?
微小球反発試験機は,アルミナ微小球(直径3mm)を試料に衝突させて試料の硬さを測定する,新しいタイプの反発式の硬さ試験機です。「精密な硬さ試験をいつでもどこでも何にでも」というコンセプトで作られています。

2. 原理
微小球反発試験機は,微小球が試料に衝突する前後の速度比,つまり反発係数を測定します。反発係数は,硬くて塑性変形しにくい試料ほど高く,塑性変形しやすい試料ほど低くなるため,試料の硬さの指標となります。できたくぼみの大きさは測る必要がないため,個人差もなく,結果も瞬時に表示されますので現場向きの試験機といえます。従来の反発試験機と異なり,微小球反発試験機は微小球単体(約0.06g)のみを試料に衝突させるため,与えるダメージが少なく,小さな試料も正確に試験することができます(目安として,厚さ5mm以上)。測定対象は,金属/食品/セラミックス/ゴム/木材など幅広く,これまでに多くの実績があります。

3. 製品
複数の企業と共同で,本原理に基づく製品を開発しました。
微小球単体を衝突させるタイプの製品は他に例がなく,本試験機が唯一の製品となります。2017年に発売後,日本機械学会優秀製品賞(2019年度),千葉ものづくり認定製品(2020)等の実績があります。試験機は360°全方向に試験でき,ばらつきが少なく安定しているため,とても使いやすい試験機です。微小球は試験機の外には出ないため,安全性にも優れています。

4. 応用
微小球反発試験機は,小型の部品から大型の構造物まで,工程管理や劣化診断,事故調査など幅広い目的に使用することができます。また,微小球が試料と一瞬しか接触しないことを利用して,高温や低温下の試験への応用も研究されています。例えば,従来の硬さ試験機では測定が困難な例として,-25℃であずきバー(アイスキャンディー)の硬さ試験を行いました。ぜひ,以下リンクから実際の動画をご覧ください。

その他,微小球反発試験機の詳細は,添付の説明資料およびポスターをご覧ください。

 微小球反発試験機 eNM3A10

 

▼ 研究紹介動画

あずきバーの硬さを試験する