横浜国立大学 大学院工学研究院 知的構造の創生部門 准教授

大矢 剛嗣

  • ものづくり
  • 機能性材料

ユニークなカーボンナノチューブ複合材が切り開く未来

近年注目されているナノカーボン材料の一つであり、多くの機能を有することが知られるカーボンナノチューブ(CNT)について、
身近な材料(紙・糸)と組み合わせた一風変わった複合材料である「CNT複合紙(図1)」「CNT複合糸(図2)」の開発と応用の開拓を進めています。

 

この材料は紙・糸でありながらCNTの機能を有しているため、
CNT由来の導電性や半導体性等をもつ紙や糸とすることができます。
これを応用することで例えば「熱電発電“紙”」(図3)・「熱電発電“糸”」や
「“ペーパー”トランジスタ」(図4)・「“糸”トランジスタ」,「”紙”アクチュエータ」等ユニークなものが実現可能です。
現在に至るまでに、各種応用の提案を行い、実際に実現可能であることを示してきています。

 

加えて、最近新しいタイプのCNTヒドロゲル(図5)の開発に成功しています。
このヒドロゲルは、CNTと分散材と水だけから成っており、架橋剤を用いるタイプのゲルやチキソ性ゲルといった既知のゲルとは全く違う新しいタイプの(導電性)ゲルになります。

今回開発したCNT分散液を加熱することによってゲル化が進行しますが、
加熱条件の変更でその硬さを制御することもできます。

また、ゲル化したものに対して超音波を照射をすることで
溶液状態に戻せるといった可逆性を持ち合わせることがわかっています。
さらに、最近の研究で特定直径のCNTを分離する能力も持ち合わせていることを明らかにしています。