TLOはTechnology Licensing Organization(技術移転機関)の略称です。平成10年の大学技術移転促進法(TLO法)が制定・試行され開始しました。主に大学等研究機関の発明・研究成果を知的財産化し、産業界にライセンスすることを主な目的とされました。大きく大学の内部にあるTLO、外部組織であるTLO(株式会社や財団法人等の組織形態で活動している)に分かれており、外部組織のTLOも広域に活動しているTLOか、あるいは特定の大学の子会社として活動しているかで類型化されます。内部TLO/外部TLOのメリット、デメリットは文部科学省が表にまとめています。
※文部科学省ホームページ
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu8/toushin/attach/1366569.htm
国立大学法人化前にTLO法に基づく承認TLOおよび認定TLOと呼ばれる組織が全国で立ち上がり、その当時は大学が知的財産権を保有できなかったため、TLOが大学研究者が発明した技術の知的財産権利化やライセンス活動をしていましたが、国立大学法人化後は大学内での権利化ができるようになり、知的財産本部等も整備されたため、TLOも再編が相次ぎました。
TLOの詳細は下記ページをご参照ください。
※経済産業省ホームページ
http://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/tlo.html
TLOの役割は下記のとおり記載されています。
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TLOとは、Technology Licensing Organization(技術移転機関)の略称です。大学の研究者の研究成果を特許化し、それを企業へ技術移転する法人であり、産と学の「仲介役」の役割を果たす組織です。大学発の新規産業を生み出し、それにより得られた収益の一部を研究者に戻すことにより研究資金を生み出し、大学の研究の更なる活性化をもたらすという「知的創造サイクル」の原動力として産学連携の中核をなす組織です。
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弊社のTLOの活動は下記をご参照ください。特徴としては様々な大学と提携し、技術移転のみならず、取得したISO9001に基づき、企業ニーズに対して全国の大学等研究機関のシーズとのコーディネートを図ること、包括的なオープンイノベーション支援を行うこと、国際的産学官連携に注力していることなど、広域TLOとして幅広く業務を展開しています。
以下、TLOの制度/活動実績/歴史についてご紹介します。
【TLOの活動実績】
■TLOの導入の経緯、役割
日本の技術移転制度は、もともと米国においてバイドール法が施行して約20年間の間に大きな技術移転成果が生まれたことを受け、それをモデルケースに導入されたと言えます。その経緯となる大きな要因は一部のホームラン特許がもたらしたものといえ、下記の文献のスライド3-4ページからも読み取れます。スライド4では、「米国の全技術移転機関の実営業収入の平均値と中央値」を示しており、中央値をとると値は非常に小さく、バイドール法が成立してから20年以上経過した2002年ですら5000万円以下にとどまっており、増加の程度も小さい、とされています。
※経済産業省ホームページ 「「国立大学の法人化等を踏まえた今後の技術移転体制の在り方」に関する報告書のとりまとめについて」
http://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/tlo2/h170517/tlo.2shoryou.pdf
※実営業収入 = 実収入 - 運営経費
・実収入 = 総収入 - 他機関に還元した収入
・運営経費 = 給与支出(人件費) + 特許経費 + その他経費
この指標はいたって全うな考え方ですが、日本のTLOあるいは知的財産本部での特許関連収支と照らし合わせることを考えると、経済産業省が発行する「産学官共同研究におけるマッチング促進のための大学ファクトブック」(※下記ホームページ参照)では各大学の「特許権実施等収入」「特許出願件数」「特許保有件数」「産学連携担当部署・URA・コーディネーターの人数」が明記されているので、大雑把な目処・傾向程度は推測することができます。(技術移転活動の結果、まずは共同研究を行う、といったことも多いので、「特許権実施等収入=成果」というのはそぐわないと考えられます。また、掲載データにはありませんが、交通費や光熱費等雑費も実際にはかかります)
http://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/daigaku_factbook.html
http://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/daigaku_factbook.pdf
前記「「国立大学の法人化等を踏まえた今後の技術移転体制の在り方」に関する報告書のとりまとめについて」13ページ目では「結論2.大学 が自らのミッションとして技術移転活動を明確に位置付けることが必要」として、下記の記載があります。
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○技術移転活動の意義は、必ずしも大学が利益を上げることではなく、国費を投じて得られた研究成果を、
① 産業界へ移転することについて組織的に取り組むことにより、社会的な説明責任を果たすこと
② 産業界へ移転することにより、産業競争力の強化や雇用の創出等に貢献すること
である。大学はその本来意義を再確認し、技術移転活動がそれのみで利益を生むかどうかにかかわらず、
自ら必要なコストを負担して積極的に取り組むことが求められる。
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なお、文部科学省が実施した「科学技術・学術審議会 産業連携・地域支援部会 競争力強化に向けた大学知的資産マネジメント検討委員会 (第3回)H27.6.8」では「大学発の研究成果を社会への貢献につなげるためのマネジメント テクノロジーライセンシング機能と産学連携 ※永野 惠嗣 氏作成」として、日本の典型的なTLOはプロフィットセンターであること、海外TLOはコストセンターであることとし、海外TLOの役割が言及されています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu16/008/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2015/07/06/1358831_5.pdf
多くのTLOの主要な役割を技術移転とみたときにプロフィットセンターあるいはコストセンターのどちらと捉えるか、コストセンターとしたときにどのように学内外への理解を得るかの活動は難しいところと言えます。CSRとも重なる点があります。また、成果の評価の考え方として、TLO単体で見るか、知的財産部門・予算と統合して見るか、さらに広げてエコシステム(産学官連携エコシステムや地域エコシステムなど)のプレイヤーのひとつで見るかも分かれ目でしょう。
■承認TLOの実績および関連施策
総務省では「イノベーション政策の推進に関する調査結果報告書」をまとめており、「第4 個別施策・事業の概要 1 大学等技術移転制度(承認TLO制度)」において承認TLO制度の成果についてまとめられています。(※下記総務省ホームページ参照)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/107493.html#kekkahoukoku
http://www.soumu.go.jp/main_content/000440168.pdf
承認TLOの事業成果についてまとまっている記事は少なく、希少な報告書です。なお、30ページ目では下記の記載がなされています。
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「また、技術移転収入は、株式会社東京大学TLOが全体の60%を占めており、その実績は二極化している(注)。」
(注) 本項目における二極化は、承認TLOが関与した技術移転件数及び技術移転収入についてのものであり、承認TLOの経営状況について述べているものではない。
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技術移転実績は、たとえば米国でも冒頭で全技術移転機関の実営業収入の中央値が低いことが記載されたように、一部のエリート校とその他大学の産学官連携実績の大学間格差が指摘されています。技術移転実績は連携対象の大学のシーズの質・量や体制・予算等にも大きく関わりますが、承認TLOの経営状況(経営方針・事業方針とも関連するため)と必ずしもリンクしているものではないことが推察されます。
■承認TLOの取組事例
全国に承認TLOがありますが、取組事例をご紹介します。
1)東京大学TLO
※東京大学の技術移転等を実施しています。
2)株式会社TLO京都
https://www.tlo-kyoto.co.jp
※京都大学等の技術移転等を実施しています。
3)株式会社東北テクノアーチ
https://www.t-technoarch.co.jp
※東北大学等の技術移転等を実施しています。
4)株式会社テクノネットワーク四国
https://www.s-tlo.co.jp
※四国地域の大学等の技術移転を実施しています。
承認TLOの数はピーク時と比べれば減っていますが、2020年には株式会社神戸大学イノベーションがTLOとして承認されるなど、増加の動きもあります。
※経済産業省ホームページ 大学等技術移転促進法(TLO法)に基づいて株式会社神戸大学イノベーションの実施計画を承認しました
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200302003/20200302003.html
株式会社神戸大学イノベーションの取組は、産学官連携ジャーナルにて記事が掲載されています。
※リポート 産学官連携にチームの出会いを求めるのは間違っているだろうか
株式会社神戸大学イノベーション 執行役員 (兼任)神戸大学 産官学連携本部 シニア・ライセンシング&ビジネス デベロップメントオフィサー 大津賀 伝市郎 氏
https://www.jst.go.jp/tt/journal/journal_contents/2021/01/2101-04_article.html
なお、下記文献の14ページ目にて「表6 国立大学出資会社の総売上高(事業収入)に占める当該大学発注の割合」が記載されており、株式会社東京大学TLOは455,415千円の総売上高または事業収入のうち55.2%、関西ティー・エル・オー株式会社は229,613千円の総売上高または事業収入のうち83.3%が大学からの発注割合とされています。
※国立大学法人の出資会社に関する研究 ―その制度変遷と私立大学との比較―
http://ump.p.u-tokyo.ac.jp/pdf/2019/05-paper_2019.pdf
■承認TLO以外の技術移転、産学連携活動の事例
承認TLO以外にも、テックマネッジ株式会社や株式会社ジャパン・テクノロジー・グループ、株式会社産学連携研究所など、大学の知的財産権の技術移転活動や産学連携支援で成果を上げている組織もあります。
1)テックマネッジ株式会社ホームページ
https://www.tech-manage.co.jp
https://www.tech-manage.co.jp/whatwedo/
以下、サービスページから抜粋します。
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Position
私たちは大学で生まれた技術を世界中の企業へ橋渡ししています
・日本の優れた大学から研究成果の技術移転を委託されています。
・企業ニーズに最適な技術を紹介します。
・実用化に向け、許諾条件や協力体制の構築について大学に代わり交渉する立場です。
Process
1.私たちはマーケティング活動を通じて最適な企業を探索し実用化を促進していきます
2.約20年の経験に基づく独自のノウハウにより、最新の研究成果を企業ニーズに合わせ内部スクリーニングします。
3.特許出願された技術について、最適な企業を世界中から探索し、紹介します。
ライセンシー候補企業と実施許諾条件を交渉し、ライセンス契約の締結を支援します。
4.ライセンシー企業での実用化開発が促進されるよう継続的にフォローアップします。
Our Value
1.厳選された数多くの技術を取り扱っています
●10以上の優れた大学からの委託
●年400件の新規発明から企業ニーズに合わせて厳選
●最新の未公開技術
2.魅力的な技術提案を行います
●技術ごとに製品を想定し、アピールポイントを明確化
●最適な企業を選定し、アプローチ
●簡潔かつ企業の関心に応じた具体的提案
●大学との協力関係を迅速かつ円滑に構築していきます
●企業に対する包括的窓口
3.大学との信頼関係に基づく円滑なコミュニケーション
●特許・契約・諸手続きに関するアドバイス
4.海外企業から見えにくい、日本の大学との連携をサポートします
●英語でのコミュニケーション
●テレカンファレンス、海外出張、海外企業担当者の招待
●海外企業との契約手続きのサポート
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2)株式会社ジャパン・テクノロジー・グループ
https://japantechnologygroup.jp
https://japantechnologygroup.jp/academia-nikola.html
以下、サービスページから抜粋します。
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”オープン・イノベーション”が定着した欧米では、大手企業と大学や研究機関との連携が進み、すでに数多くの成功事例が生み出されています。アメリカにおいて最も産学連携が進んでいる地域の一つであるフィラデルフィアに拠点を置く私たちは、日々このような潮流を肌で感じています。
しかし、その実現には、言葉の壁、ビジネスカルチャーの壁、物理的な距離の壁、などなど・・多くの障壁が存在するのも事実です。日本からアプローチした場合に最初の障害となるこれらの障壁をいかにクリアし、限られたリソースを技術評価や特許戦略、契約交渉などのコア業務にいかに注力するかが、国際的な産学連携実現への近道です。
JTGは、国際的な知財ビジネスの世界でこれまで培った経験とグローバルに築いた産学官ネットワークに基づき、これらの課題を抱える日本の大学や学術機関へのソリューションとして、”国際技術移転支援サービス”を提供します。
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3)株式会社産学連携研究所
https://aird.jp
以下、サービスページから抜粋します。
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産学連携事業
株式会社 産学連携研究所は大学等の産学連携業務を受託いたします。アカデミアとインダストリーの隔たりを埋めるために、当社(産学連携研究所)が大学等の産学連携業務を担い、事業化計画の立案、企業とのマッチング、コーディネーション、マネジメントを行います。
■産学連携業務の受託
(競争的資金の応募支援、共同研究・技術移転支援、科研費の申請支援)
■産学連携コーディネーターの派遣
■産学連携人材の育成、インターンシップ
■クラウドファンディングによる資金調達支援
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また、国立研究開発法人の中には、TLO機能やベンチャー支援機能、共同研究促進機能、企業共創機能を有する外部組織を立ち上げるという活動もあります。
※理化学研究所ホームページ 株式会社理研鼎業の設立について
https://www.riken.jp/pr/news/2019/20190906_1/
日本の技術移転については、一般社団法人技術移転協議会が推進しており、ライセンスアソシエイト研修や、UNITTアニュアルカンファレンス、RTTP(Registered Technology Transfer Professional:国際認定・技術移転プロフェッショナル)の認定を受けるためのサポートなどを実施しています。以下、Webサイトから抜粋します。
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UNITT(一般社団法人大学技術移転協議会)は、大学・研究機関及びTLO並びにそれらの活動を支援する機関や個人間のネットワークを形成するとともに、そのネットワーク基盤の上で、大学・研究機関における知的財産管理、技術移転、共同研究及び起業等、広く産業連携の業務を効果的に展開するための交流、相互啓発、調査、研究、提案などを推進します。
こうしたアカデミア間のネットワーク活動と産学連携のグローバルな展開をとおして、UNITTは、大学等による豊かな未来社会形成への貢献と産業の発展への貢献を支援します。
※一般社団法人技術移転協議会ホームページ
https://unitt.jp
https://unitt.jp/about/
https://unitt.jp/seminar/rttp/
※RTTP取得のための要件(ATTPのWEBサイトの日本語訳)
https://unitt.jp/wp/wp-content/uploads/2018/11/rttp_doc.pdf
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■TLOの海外の事例とGAPファンド
TLOが技術移転収入を得ようとしたとき、保有する研究シーズの質・量が重要であり、米国TLOの事例のようにホームラン特許となりうる発明が学内で生まれないようだとなかなか技術移転事業は成功にいたりません。さらに発明段階の基礎研究を企業へ提案可能な段階まで引き上げるための研究費支出としてGAPファンド(ギャップファンド)が重要です。GAPファンドは基礎研究と実用化研究の間のギャップ(GAP)を埋めるなどの目的の資金であり、GAPファンドを元手に基礎データの収集・試作品の開発などを行うことにより企業の適正な経営判断・ビジネス化可能性の判断を促し、技術移転が促進されます。下記資料では日米欧におけるGAPファンドの活用実績が記載されており、日本が欧米と比較してGAPファンドの活用実績が乏しいことが読み取れます。
※日米欧におけるギャップファンドの活用実績等に関する調査報告書(公益財団法人未来工学研究所 作成)
http://www.ifeng.or.jp/publication/日米欧におけるギャップファンドの活用実績等に/
※大学等の研究成果の事業化推進のためのファンド制度に関する実態調査報告書(公益財団法人未来工学研究所)
http://www.ifeng.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2012/07/52a2ef3c2facaa126b520b022cd06c27.pdf
海外のTLO/大学のモデルケースとして、イギリスのTLOの仕組みおよびIsis Innovation(オックスフォード大学のTLO)とCambridge Enterprise(ケンブリッジ大学のTLO)が下記文献で紹介されています。一例としてIsis Innovationでは、
1)技術移転に精通した人材(Technology Manager)が多数おり半数が博士人材であること
2)学外TLOであること
3)投資家と企業とのネットワークイベントを多数開催していること
4)日本・中国・香港・スペインに拠点があり海外企業との共同研究・ライセンシー活動が活発であること
5)特許の多くはPCT出願を行い海外拠点をもとにライセンシング活動を行っていること
6)出願有無やどの国に出願するか、ライセンシー探し等の広範な活動がTechnology Managerの力量にゆだねられていること
7)オックスフォード大学自体に大学から生まれた技術を実用化・商品化レベルまで高めることを目的としたファンドがあること(また、前記ネットワークイベントでの投資家との交流があること)
などが紹介されています。
※イギリスの大学における技術移転の現状について(中澤 真吾 氏 作成)
http://www.tokugikon.jp/gikonshi/270/270kikou3.pdf
要注意事項として、実務的にはGAPファンドを活用するに当たっての作業効率性が重要です。手間がかかっては収益性(シーズ育成作業とその作業を経て生まれる成果に係る費用対効果)が下がりますし、産学官連携従事者がある程度の権限を持つことで、各個人がスピーディーかつ戦略的に技術移転に取り組むことができます。その点では、大学内でGAPファンドを持つことは効率は良く、海外の多くの成果を出しているTLOは学内GAPファンドへ戦略的に取り組んでいます。日本では学内GAPファンドはまだ充実しておらず、公的GAPファンドの活用は歴史があります。
日本で公的GAPファンドを考えた場合、申請書作成の手間がひとつのファクターとなります。申請書が数枚程度か、数十枚におよぶのか、面接ヒアリングがあるのか、関係者間での事前打ち合わせが何回程度必要かなどで作業量が変わります。ここで採択率を考慮すれば、ある程度の一申請あたりの獲得額の期待値も見えてきます。仮に公的研究開発補助金獲得がミッションのURAであれば、その活動成果にダイレクトに影響するといっても過言ではありません。例示として申請書40ページの申請で、1時間あたりに1ページ作成、時給3000円と見積もると人件費12万円が最低かかると考えられます(その他、申請書および付帯資料の印刷作業(電子申請ではない場合)・申請手続き作業・面接対応・事前打ち合わせなどの作業費がかかります。地方大学では面接ヒアリングでの交通費などがかかるとすると、総じると20万円程度は見たほうが良いかもしれません)。仮に全国で500件の申請があれば国内大学全体で1億円の費用を申請作業に要するとも算定できます。大学研究者が作成すると研究活動従事時間の圧縮にもつながります。また、GAPファンドとして捉えた場合、企業にシーズを紹介する前の段階でも対象となるのか、特定の企業との連携体制がほぼ整っている段階なのか(すでに紹介済みで、関心をもたれているか)も考慮事項となります。
好事例として、かつてJST(国立研究開発法人科学技術振興機構)ではシーズ育成試験/シーズ発掘試験という公的研究開発支援事業を実施していました。シーズ発掘試験では申請書が3枚(コーディネータの記入欄は数行)、予算は発掘型は200万円/発展型は500万円、面接ヒアリングは弊社が申請・採択された課題では無し、採択件数は平成21年度は2062件(申請件数:7865件 ※そのため採択倍率は4倍に満たない)、特定の企業との連携の目処が立っていなくても申請可能(発明段階で申請できる)、など技術移転担当者にとって活用しやすい事業でした。弊社でも本事業を活用した成果として、企業への技術移転を行い、ものづくり連携大賞・日刊工業新聞社賞・を受賞したテーマ(参考URL:http://kenkyo.office.uec.ac.jp/kikou/20081211/20081211.html)もありました。
申請書や採択課題、報告書などは下記から閲覧できます。
※シーズ発掘試験ホームページ(科学技術振興機構)
http://www.jst.go.jp/chiiki/seeds/
■TLOにかかわる主な施策
TLOに関してはTLO法施行後10年程度は様々な支援施策や関連施策がありました。また、TLOが役割を担うことができる事業もありました。その代表例をご紹介します。
【大学等技術移転促進費補助金】
承認TLOの多くが申請・活用した草分けの事業です。米国でもTLOが黒字収益にいたるには長い年月がかかったため、その立ち上げにあたって補助金が交付されました。一方、5年間の事業実施後も黒字収益にいたらないとして倒産したケースや、大学の内部組織化したTLOもありました。下記が事業概要です。
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承認実施計画に係る事業に対し、経済産業省から補助金の交付が受けられます。
補助対象者:文部科学大臣及び経済産業大臣から承認を受けたTLO
補助率:2/3以内、1年に3,000万円が上限。
補助期間:5年間
補助対象経費:承認実施計画の実施に必要な費用のうち、以下に掲げるもの。
①技術シーズ収集・評価・調査経費
②海外出願経費
③情報加工・編集・発信経費
④技術指導経費
⑤技術移転スペシャリスト人件費(技術開示活動相当分)
※経済産業省ホームページ
http://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/tlo/tlo-support.htm
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※財務省 総括調査票
https://www.mof.go.jp/budget/topics/budget_execution_audit/fy2006/sy180704/1807d_41.pdf
【大学発事業創出実用化研究開発事業】
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募していた平成15年度から開始された研究開発補助金制度です。大学のシーズを活用することが前提で、TLOが民間企業から資金を受けて申請を行い、採択後はTLOが管理法人となり研究開発プロジェクトを運営するという基本指針で立ち上がりました。(途中からTLOを介さなくても民間企業が直接申請できるようになりました)
TLOの活動経費・一般管理費が計上可能だったため、この制度を活用したTLOが相次ぎました。
下記が事業概要の抜粋です。
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大学等における研究成果を活用して、民間事業者と大学等が連携して行う実用化研究を支援することにより、民間事業者による大学等の成果の事業化を促進します。また、研究開発の前段階にある調査事業に対しても、助成を行います。
民間企業と大学間での技術ニーズとシーズが一致する場合に、技術移転機関(TLO)等に民間企業等(資金提供事業者)から研究資金を提供し、その2倍額を限度としてNEDOがTLO等に助成を行うもので、大学の持つ技術の有効利用による新規産業・市場創出を促進します。
<助成制度の概要>
※NEDOホームページ https://www.nedo.go.jp/activities/ZZ_00313.html
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【特定分野重点技術移転事業(スーパーTLO事業)】
技術移転実績が特に優れた承認TLOを「スーパー TLO」として位置付け、他のTLOの専門性を補完するとともに、スーパー TLOが日本に不足している技術移転専門人材の育成を行うために必要な費用の一部を補助する事業です。
当時の活動状況や事業情報はWeb上ではほとんど公開されていません。下記「技術移転人材育成調査報告書」ではスーパーTLOの事業が少し紹介されています。
※株式会社富士通総研作成
http://www.inpit.go.jp/blob/katsuyo/pdf/download/H17iten.pdf
【創造的産学連携事業】
平成20年度~平成24年度にわたり実施されました。
産学官連携ジャーナル(2012年3月号 ※下記URL)において紹介されています。
https://sangakukan.jst.go.jp/journal/journal_contents/2012/03/articles/1203-03-3/1203-03-3_article.html
以下抜粋です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
地域の産学官連携拠点を中心に活動を行うTLO(技術移転機関)に対し、研究開発から知財・標準化などを含む事業化までの企画・立案・実施等を支援する。これにより、産業界や大学等と密接に連携し、産学連携に関する高度な知識・経験を有する人材を活用し、イノベーション創出による地域社会の活性化を図る。
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本事業の概要と成果については、詳しくは下記URLの1-7ページをご参照ください。
※内閣府ホームページ
https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/hyouka/kentou/keisan/jigo2/sanko4-5.pdf
【大学知的財産本部整備事業】
前記のとおり国立大学法人化によって大学が自ら知的財産権を権利化・保有しライセンスできるようになり、それに伴い全国の大学で知的財産本部を整備することを目的に開始されました。このとき、知的財産権の権利化・ライセンスを主業務としているTLOは業務範囲がバッティングしているとし、関係大学との統合や役割分担の整備が必要となりました。弊社の場合はニーズ指向型のコーディネート業務が主業務だったため特に混乱はありませんでしたが、TLOの活動の見直しにもつながる事業でした。
※文部科学省ホームページ
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/08081104/002.htm
【イノベーションマネジメントハブ形成支援事業】
大学における研究成果の社会還元を促進するため、大学、産業界、技術移転機関(TLO)のネットワーク強化を図ることを通じて、大学における知的財産の効果的活用や共同研究の構築に資する環境整備を図ることを目的とした事業です。2019年度から開始され、初年度はiPSアカデミアジャパン株式会社、関西ティーエルオー株式会社、株式会社信州TLOの3機関が採択されました。
公募の背景は下記の通りです。
(背景)
近年、大学における産学連携活動は進展し、民間企業からの研究資金等受入額も増加傾向にあります。他方で、大学によっては、その置かれた環境により効果的な技術移転活動を行う上で制約が生じている状況が見受けられます。このことは、大学によっては、専門的で広範な内容を有する知財活用に向けた体制が十分に構築しきれていないことも関係しています。
このため、本事業では、大学が保有する研究成果活用の最大化に向けて、企業ニーズの把握や活用に際しての課題解決、事業化モデルの構築に資するよう、専門性の高い技術移転機関(TLO)の活用機会の促進を図ることとします。こうした取組を通じて、大学における知財活用のみならず、共同研究の構築や大学発ベンチャーの創出など、我が国の大学における産学連携活動を多角的に推進することを目指します。
※文部科学省ホームページ
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/1415815.htm
レビューシートは下記に掲載されています。
※JUDGITホームページ
https://judgit.net/projects/7948
【産学官連携人材の支援事業】
NEDOフェロー、文部科学省産学官連携コーディネーター、特許流通アドバイザーなど、産学官連携人材をTLOが受け入れるケースがありました。実務的には人件費相当分がTLOの財務面で役立っていたといっても過言ではありません。
URA等を含めた産学官連携人材制度は下記コラムでご紹介しています。
※産学官連携人材(URA、産学官連携コーディネータ等)に関わる事業・制度の歴史
https://www.campuscreate.com/wp-admin/post.php?post=2807&action=edit
【JSTイノベーションコーディネータ表彰】
TLOの技術移転担当者は、主に産学官連携コーディネータ/ライセンスアソシエイトなどの職種に従事します(組織によって名称は異なるため、統一されてはいません)。
現在はリサーチ・アドミニストレーターの今後の普及を支えことを目的とした「リサーチ・アドミニストレーターの質保証に資する認定制度」が注目されていますが、過去には産学官連携コーディネータの活躍を表彰し、職種として確立することを目的として、JSTが「イノベーションコーディネータ表彰」という制度を実施していました。
一例として、平成23年度の表彰結果をご紹介します。
※JSTホームページ
https://www.jst.go.jp/pr/info/info838/index.html
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この表彰は、産学官連携に関わるコーディネータの活動・実績に対して、その成果を客観的視点から表彰することにより、コーディネータのモチベーションを高めるとともに、コーディネート活動の重要性を社会にアピールすることで、コーディネータのより一層のステータス向上を目指し、平成21年度に創設したものです。
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【科学技術イノベーション人材育成プログラム】
JSTにて、大学等の技術移転人材を育成するためのシステム強化、技術移転マネジメントの普及モデルの確立を進め、大学等・研究機関の研究成果を実用化するための技術移転・産学連携業務に従事する人材(目利き人材)の専門能力の向上、及び人材のネットワーク構築等を目的とした人材育成研修プログラムを提供しています。
研究の講師は主にTLOが担当し、「ライセンスメンタリングコース」「ライセンストータルコース」「共同研究メンタリングコース」「実事例ワークショップ」などの実施実績があります。研修事例では、中部TLO 羽田野泰彦事業部長、信州TLO 篠塚由紀氏、TLO京都 石田政隆氏が講師を務めた事例が紹介されています。
一例として、共同研究メンタリングコースの要点を抜粋します。
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(研修の概要)
共同研究 メンタリングコースでは、大学等*1の実務者ニーズが見込まれる技術移転・産学連携実務のうち、主に知的財産を活用した企業との「共同研究」に係る案件(将来的に「共同研究」を目指す案件も含む)を内容とした実践的な研修とし、JSTが構成するメンター群が研修生へ助言や指導をします。本研修は、研修生が主体的に研修計画を立て取り組む研修です。
*1 「大学等」とは、国立大学、公立大学、私立大学、高等専門学校、大学共同利用機関、国立研究機関、独立行政法人を指します。
(特徴)
①本業と研修が一体なので、研修のための特別なエフォートは不要
②様々な案件への実践的な助言や指導ができる実務経験豊富なメンター群を構築
③研修生は抱える問題をもとにメンターを選択(複数メンターへ相談可能)
④研修生とメンターによる1対1の面談方式(対面またはビデオ会議)
(実施時間)
研修生1名あたり10時間以上の面談(希望者は、最大40時間分まで可能)
(実施方法)
研修生とメンターによる1対1の面談
(※対面またはビデオ会議ツールを利用するが、当面はビデオ会議ツールで実施)
(※補助的な実施方法として「電子メール」は利用可能)
(実施場所)
メンターまたは研修生の勤務地(※受講のための旅費を支給(上限あり))
(実施内容)
研修生が担当している共同研究案件で抱えている問題または悩み事・困り事の解決へ向け、メンターが助言や指導
共同研究にかかる実務例:
①研究シーズの発掘・組み合わせ
②研究シーズの権利化
③市場調査、先行技術文献調査
④共同研究候補企業及び企業ニーズの探索
⑤プロジェクト企画・事業化企画
⑥共同研究計画の提案(学内、企業)
⑦学内チーム作り
⑧契約交渉
⑨プロジェクト マネジメント(進捗、成果、リスク)
(※研修生は、全体研修計画書および月次研修計画書を作成の上、研修を実施)
(※メンターと研修生は、研修にあたり、守秘に関する誓約書をJSTへ提出)
(修了証)
研修生の研修達成度、研修受講時間を総合的に勘案し、修了証を発行
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※JSTホームページ
https://www.jst.go.jp/innov-jinzai/program/tt/index.html
https://www.jst.go.jp/innov-jinzai/program/tt/course/example.html
https://www.jst.go.jp/innov-jinzai/program/tt/course2/index.html
【目利き人材育成プログラム】
JSTにて、大学等の研究成果の実用化を促進する人材の育成・確保のため、大学・TLO・公的研究機関・地方自治体等で技術移転業務に携わる人材(目利き人材)の専門能力の向上、ネットワーク構築等を目的として、2002年度より実施しています。
研修コースのカリキュラムとして、産学連携・技術移転業務を推進するための基礎知識を体系的に学ぶ「研究推進マネジメントコース」、技術移転活動に必要な知識とスキルを習得し、事業をプロデュースする力をつける「バリュープロデュースコース」、技術移転をプロデュースする力をつける「起業環境整備支援コース」などを実施しています。
※JSTホームページ
https://www.jst.go.jp/innov-jinzai/program/mekiki/index.html
「産学官連携活動に携わるコーディネート人材に必要なスキルに関する調査の分析」報告書(概要)を平成26年3月に公開しています。
※JSTホームページ
https://sangakukan.jst.go.jp/center_contents/information/annex/20_H25_jst_coordinate_skill_report.pdf
【その他公的研究開発補助金】
下記の事業では事業管理機関が必要なケースがあり、TLOが事業管理法人を務めるケースがありました。事業管理法人の活動費や一般管理費などを計上可能なため、TLOが申請・採択されたテーマが多くありました。
・戦略的基盤技術高度化支援事業(委託事業で開始、後に補助事業へ移行)
・地域イノベーション創出研究開発事業
・地域新生コンソーシアム研究開発事業
・課題解決型医療機器等開発事業
■TLOに関わる産学連携のトピック
【TLOの課題とファシリテーションの可能性】
2018年には公益財団法人未来工学研究所において、「地域レベルの産学連携機能強化に係る方法論に関する調査」が実施されています。個々のTLOの現状・課題とファシリテーションの重要性が記載されています。
ファシリテーションは4ページ目において以下のとおり定義されています。
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本調査でいうファシリテーションとは具体的に、地域において様々な利害関係者間の関係を構築し、そこから予測困難な未知の領域において人々の潜在ニーズ等の気づきを得るといった効果が考えられ、課題の本質をスピーディーに分析する等、多様性を生かして新たな可能性を創発し、価値創出を促進する場面において有効と考えられる。このようなファシリテーション能力は、特に、大学と企業をつなぐ産学連携機関において機能することが望ましいと考えられた。こうした機関でファシリテーションを活用することで、地域の産学官それぞれのキーマンと信頼関係に基づくコミュニティを形成し、産学連携活動が活性化されることが期待される。
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TLOがファシリテーションの機能を持つことで地域全体の産学官連携が振興できる可能性を示唆するもので大変参考となります。
前記事項までを踏まえると、TLOが純粋な技術移転業務で持続的な自立的経営ができる収益を上げるには下記が要件の一種に該当すると考えられます。
1)優れた研究シーズの質・量の確保 ※研究シーズは、内部TLOであれば内部ケイパビリティの位置づけ、外部TLOであれば外部ケイパビリティの位置づけとなります。
2)基礎研究を企業へ紹介可能な研究段階まで引き上げるGAPファンド
3)優秀な研究者を獲得する大学経営戦略(優れたシーズの安定的確保等の観点)
4)研究者が研究業務に集中できる環境・予算(シーズの育成・実用化促進の観点)
5)産学官連携業務従事者のレベルアップおよび知的財産関連の体制・予算の充実
逆に言うと、上記要件を満たさないTLOは技術移転のみにとどまらない、ファシリテーションの機能や地域ニーズに合ったサービスメニューの作成・経営戦略なども重要であると考えられます。
また、特徴的な事項として、本報告書の57ページでは「5)産学連携施策に対する要望 」として下記のコメントがあります。
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「海外ではTLO にアナリストを置いて、現状把握(データ解析)を行っているが、そういった観点での人材を配置していない。日本でもそうした取組みが必要ではないか。」
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海外のTLOにおけるアナリストの配置・活用についてのまとまったデータや調査報告は見当たらないため、国策として施策化するかまではさておき、AI・データサイエンスの技術領域が急速に発達し、様々な業界で活用が進んでいる中で、TLOないしは産学官連携部門が海外の大学・TLOと同等の機能を持つには、このような観点は今後の大きなヒントであり、TLOによっては独自で取り組むこともひとつの手段であると考えられます。
※経済産業省ホームページ
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H29FY/000084.pdf
【産学連携3.0への展開】
2000年代のTLOや産学連携本部が企業へシーズを橋渡しを行うスキームを産学連携2.0とし、2020年代からは産学連携3.0(産学融合)のスキームへ推進すべきと政策資料では明記されています。産学連携3.0の指針は主に下記2点です。
・産学協創(又は共創)型の産学連携や、企業の期待する人材確保のための大学との関係の深化。
・クロスアポイントメント制度も活用し人材流動が活発化。
※経済産業省ホームページ資料(スライド29ページ目に産学連携3.0について記載)
http://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/06/__icsFiles/afieldfile/2019/06/20/1417924_010.pdf
【研究支援サービス・パートナーシップ認定制度】
民間事業者が行う研究支援サービスのうち、一定の要件を満たすサービスを「研究支援サービス・パートナーシップ」として認定する制度です。本制度を通じ、研究者の研究環境を向上させ、我が国における科学技術の推進及びイノベーションの創出を加速するとともに、研究支援サービスに関する多様な取組の発展を支援することを目的としています。本制度は、文部科学省の科学技術改革タスクフォースにおいて、省内若手有志によって提案された施策です。
従来型のTLOによる技術移転活動等に限らず、様々な民間事業者が研究支援サービス領域に参入し、官民連携でその普及を推進することで、研究環境改善等を図ることを示唆しています。
※文部科学省ホームページ
http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/kihon/1422215.htm