国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が事務局を務めるオープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)にてオープンイノベーション白書第三版が公表されています。概略を記載します。
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101312.html
出典:「オープンイノベーション白書 第三版」を策定 ―イノベーションの本質に立ち返り、課題の整理や未来への提言を示す―
下記がリリース時に記載された白書策定の趣旨・概要の抜粋です。
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1.概要
日本企業を取り巻く競争環境が厳しさを増す中、自社のリソースのみで新たな顧客の価値を生み出すイノベーションを起こすことは難しく、世界中のリソースを活用するオープンイノベーションは必須の戦略となっています。
こうした背景を踏まえ、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とオープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)※は、日本におけるオープンイノベーションの現状を可視化し、広く共有することを目的に2016年7月に「オープンイノベーション白書」の初版を策定し、関連するデータの集約とオープンイノベーションによって一定の成果をあげた企業の事例などをまとめました。さらに2018年6月に策定した第二版ではデータと成功事例を一新するとともに、オープンイノベーションの目的や期待する効果を明確化し、成果をあげるためのポイントや留意すべき点についてもまとめました。
今回とりまとめた第三版では、「オープンイノベーションを理解するためにイノベーションを正しく理解する」という観点から、イノベーションの本質に立ち返り整理を進めました。米国企業や中国企業などに比べ日本企業のイノベーション創出が高まらない現状を踏まえ、マクロ・ミクロの視点でイノベーションの歴史を整理しただけでなく、世界や日本の市況から要因を分析することで日本においてもイノベーションを創出しやすくする方策を検討し、未来への提言を示しました。
2.今回の成果
【1】編集方針
近年、イノベーティブな米国企業や中国企業の台頭がみられる一方で、日本企業によるイノベーション創出のインパクトはそれほど強くありません。オープンイノベーション白書ではこれまでに、イノベーション創出の有効な手段としてオープンイノベーションの効果的な手法や事例を整理してきましたが、改めて第三版の作成にあたり、イノベーションの本質に立ち返りながらオープンイノベーションの意義や位置づけを整理し、現在求められるイノベーションをどのように創出していくのか、事実と推論に基づき取りまとめました。
イノベーション創出やビジネス拡大に取り組む企業にとって、「では自分たちは何をすべきか」を検討する上での一助となることを目指しました。
【2】白書の構成
第1章:「イノベーションの重要性と変遷」
イノベーション論の歴史的変遷、イノベーション論がビジネスに活用されるケースの紹介、イノベーションの要素
第2章:「各国・各業界におけるイノベーション創出の経緯」
マクロ環境・業界の変遷、各国のイノベーション政策、世界のイノベーション・エコシステム、マクロ環境における日本の強み弱み
第3章:「日本におけるイノベーション創出の現状」
日本企業のイノベーション創出状況、日本企業のイノベーション創出に対する取り組み状況
第4章:「国内・海外のイノベーション推進事例」
国内・海外企業の取り組み事例、国内外エコシステムの取り組み事例、座談会やヒアリングのまとめ、日本の目指すべき方策の具体化
第5章:「日本のイノベーション創出に向けた課題と方策」
日本におけるイノベーション創出に関わる機会、日本の目指すべき方策の提示、イノベーション創出に向けた考え方の整理
第6章:「イノベーション創出に向けた活動報告」
NEDOの取り組み事例、JOICの活動紹介
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オープンイノベーション白書第三版の詳細については下記のURLにて公開されています。
https://www.nedo.go.jp/library/open_innovation_hakusyo.html
出典:オープンイノベーション白書第三版ホームページ
https://www.nedo.go.jp/content/100918465.pdf
出典:オープンイノベーション白書 第三版 日本におけるイノベーション創出の現状と未来への提言(概要版)
https://www.nedo.go.jp/content/100918466.pdf
出典:オープンイノベーション白書 第三版 日本におけるイノベーション創出の現状と未来への提言(全体)
全体としては初版・第二版の拡張・更新となる記載も含まれていますが、下記の3点に関わる項目は、新たに追加された要素あるいは特に参考となる文脈と考えられます。
1)イノベーションが企業経営にとってなぜ必要か、どのように活用されるかを事例を交えて記載されています。例えばこれから企業がオープンイノベーションに取り組むうえで、なぜその取り組みが必要かのコンセンサスを取る際に参考になります。イノベーション・マネジメントシステムの概要や両利きの経営、対デジタル・ディスラプター戦略など、今後考慮すべきトレンドについても触れられています。
(19~33ページ)
1章2節 イノベーション論が実際にビジネスに活用されるケース
1.2.1 イノベーション論が経営に活用されるケース
1.2.2 イノベーション論が研究開発に活用されるケース
1.2.3 イノベーション論が改善・普及の活動に活用されるケース
1.2.4 イノベーション論が新規事業創出に活用されるケース
2)業界の歴史的変遷や各時代を象徴するイノベーションについて簡潔に要点がまとめられています。
(77~103ページ)
2章4節 各業界の歴史的変遷
2.4.1 自動車業界の歴史的変遷
2.4.2 装置業界の歴史的変遷
2.4.3 半導体業界の歴史的変遷
2.4.4 化学・素材業界の歴史的変遷
2.4.5 製薬業界の歴史的変遷
2.4.6 ICT業界の歴史的変遷
2.4.7 ゲーム業界の歴史的変遷
2.4.8 小売業界の歴史的変遷
2.4.9 業界の歴史的変遷を通じて
3)日本企業がイノベーションを創出する上での傾向や課題がまとめられています。このような傾向を把握しつつ、その課題に対応した組織構築・戦略策定が重要と言えるでしょう。
(250~273ページ)
4章4節 日本のイノベーション創出に関する特徴と方策について
4.4.1 座談会で議論したイノベーション創出に関する日本の特徴と方策
4.4.2 ヒアリングの中で意見を得たイノベーション創出に関する日本の特徴
第5章 日本のイノベーション創出に向けた課題と方策
5章1節 日本におけるイノベーション創出に関わる機会と方策
5章2節 イノベーション創出における日本の目指すべき方向性