経済産業省では、「J-Innovation HUB 地域オープンイノベーション拠点選抜制度」の選考・選抜を進めています。選抜拠点と対話しながらオーダーメイドの支援を展開することで、それぞれの拠点によるイノベーションの創出に向けて、共に挑戦していくとしています。本事業についてご紹介します。
【概要】
「J-Innovation HUB 地域オープンイノベーション拠点選抜制度」の概要は下記の通りです。
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大学等を中心とした地域オープンイノベーション拠点の中で、企業ネットワークのハブとして活躍しているものを経済産業省が評価・選抜することにより、信用力を高めるとともに支援を集中させ、トップ層の引き上げや拠点間の協力と競争を促す制度。
「国際展開型」と「地域貢献型」の2類型がある。
《国際展開型》 海外・国内グローバル企業との産学官連携活動を積極的に行い、今後の更なる海外展開を目指している拠点
《地域貢献型》 地域の課題解決や地域経済の振興等を目指し、地域の企業や地方公共団体との産学官連携活動を積極的に行っている拠点
今後、経済産業省がひとつひとつの拠点と対話しながら、予算や規制緩和、その他の支援をオーダーメイドで行っていく。
選抜された拠点に応じて支援内容は変わるが、例えば、以下のメニューを準備している。
・国内外への広報、拠点間の連携支援
(ロゴマークの使用許可、選抜拠点間ネットワーク会議、海外展開支援 等)
・経済産業省予算事業との連携強化
(ア)地域企業イノベーション支援事業
(イ)戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)
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出典:経済産業省ホームページ J-Innovation HUB 地域オープンイノベーション拠点 第1回選抜を行いました!
https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200410003/20200410003.html
本選抜にあたっては、日本経済新聞でも掲載されています。
出典:日本経済新聞 経産省の研究支援、京大や東北大など9拠点に重点
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57874120Z00C20A4EE8000/
地域オープンイノベーション拠点選抜制度の公募情報は下記の通りです。(抜粋)
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経済産業省では、大学等を中心とした地域オープンイノベーション拠点の中で、企業ネットワークのハブとして活躍しているものを評価・選抜することにより、信用力を高めるとともに支援を集中させ、トップ層の引き上げや拠点間の協力と競争を促す制度を創設します。
(主な審査項目)
・拠点のビジョンと目的、戦略・計画
・拠点の基盤・インプット
(研究者や支援スタッフの体制、財政基盤、施設・設備、契約・セキュリティ体制、人材育成)
・拠点におけるイノベーション創出のためのプロセス
(イノベーション・マネジメントシステム)
・拠点のイノベーション創出のアウトプット、アウトカム
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出典:経済産業省ホームページ 「地域オープンイノベーション拠点選抜制度」の公募の開始について
https://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/sangakurenkei/openinnovation.html
制度の概要は下記の通りです。
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(コンセプト 3ページ目)
大学等の研究開発拠点は、地域におけるイノベーションの源泉です。新たなイノベーションの種を提供し、支援し、導き、また時には企業同士を互いに結びつけることなどを通じて、試行錯誤する企業の“ハブ”として活躍する拠点が数多く存在します。
これまでも経済産業省では、このような拠点に対する支援を広く行ってきましたが、今般、新しい支援のかたちを提案します。
このような拠点から、少数の精鋭を選抜させていただき、拠点によってさまざまに異なる「更なる展開への壁」に、経済産業省が共に挑ませていただくことにより、これら拠点の更なる躍進を後押しし、地域におけるイノベーションの創出を加速していきます。
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出典:経済産業省ホームページ
https://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/sangakurenkei/gaiyoushiryou3.pdf
本選抜制度は、「産学融合拠点創出事業」のうち、「2.地域オープンイノベーション拠点選抜制度」に該当します。事業内には「1.産学融合先導モデル拠点創出プログラム」が別途あり、その趣旨は下記の通りです。
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■ 地域ブロックにおける複数の大学と企業のネットワーク創設に向けて、
①民間団体等が実施する、専門人材を活用した産業界と大学のマッチングの場のデザイン、交流会等の実施、マッチングのための
研究計画等のブラッシュアップ等の支援
②また、マッチングの結果、産学の共同研究に向けて、大学等が技術シーズの市場性等を評価するためのFS調査等を支援する。
■こうした支援を通じ、産学融合に取り組む先導的なモデルとなる拠点を創出する。
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出典:経済産業省ホームページ
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2020/pr/ip/sangi_06.pdf
産学融合拠点創出事業については2月6日に「Society 5.0産学官を巻き込む未来。今すべきこととは?」というイベントが開催されています。本イベントは、来るべきSociety 5.0時代において、「産学官連携の姿はどうあるべきか」「実現した先にどのような未来が描かれるのか」を、各事業会社・大学・団体などでイノベーションを起こすべく日々挑戦を続ける皆様とディスカッションしながら、未来の姿を共に考える機会としています。
出典:eiiconホームページ Society5.0実現に向け、産学官連携は新たなステージへ
https://eiicon.net/articles/1447
出典:eiiconホームページ Society 5.0産学官を巻き込む未来。今すべきこととは?
https://eiicon.net/about/society5_0/
出典:eiiconホームページ 本気の産学官融合を考える、対話型イベントレポート
https://eiicon.net/articles/1538
なお、産学融合は今後非常に重要な概念であり、弊社でも広域TLOの特徴を生かして以前から取り組んでいます。
出典:キャンパスクリエイトホームページ 産学融合の取組事例
出典:PRTIMES 産学融合に関する取組を公開しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000031052.html
産学融合に関わる学会文献としては下記があります。アライアンスの設計や運用まで事細かに記載されています。
出典:京都大学の組織間共同研究『包括的産学融合アライアンス』始まり,終わり,終わった後
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsip/15/2/15_2_16/_article/-char/ja
【選抜拠点】
「J-Innovation HUB 地域オープンイノベーション拠点選抜制度」の第一回選抜拠点として下記9拠点が選抜されています。
《国際展開型》
1)東北大学 国際集積エレクトロニクス研究開発センター
国際集積エレクトロニクス研究開発センター(CIES)は、材料・装置・デバイス・回路・システムなど多様な国内外の企業、そして地方公共団体(宮城県、仙台市、岩手県等)と連携して、CIESコンソーシアムを運営しています。これまでに、集積エレクトロニクス技術、及びパワーエレクトロニクス技術に係る多様な革新的技術の開発に成功し、超低消費電力が要求されるIoT、及びAIシステムへの展開が進展するなどの成果を生み出しています。本選抜にあたり、下記のように広報されています。
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今後、経済産業省の伴走支援を仰ぎながら、より一層研究開発に邁進してまいります。これにより、富県宮城を掲げ県内製造業の中核である高度電子機械産業と自動車関連産業とを中心に国際的にも競争力のある産業や次代を担う産業の集積を図るとした宮城県の施策、及び自動車関連産業の集積を図る岩手県の施策と呼応し、東北地域に集積されるIT・自動車企業を当拠点の基盤技術と融合させ、材料・メモリチップ・アプリケーションプロセッサ・プロセッサ応用システム・製造装置・計測装置・ソフトウェアまで川上から川下までの領域で一貫して研究開発を行い、我が国の重要な産業領域の発展に貢献してまいります。
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出典:東北大学ホームページ http://www.cies.tohoku.ac.jp/news/article.html?news_id=372
2)山形大学 有機エレクトロニクスイノベーションセンター
有機エレクトロニクス実用技術の研究開発を産学連携で推進するセンターとして2013年に設立されました。本センターの大きな特長の一つは、既存の大学組織と異なり、産業、事業への貢献をファーストプライオリティに据えたまったく新しいスタイルの産学連携を推進している点です。産業、事業にダイレクトに貢献する産学連携を行うため、本センターは有機エレクトロニクス分野で豊富なビジネス経験を有する企業出身教員を揃えており、企業ニーズを最優先した「ニーズファースト型」産学連携の推進によって、多くの事業貢献成果を上げています。本選抜にあたり下記の通り広報されています。(抜粋)
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(本件のポイント)
・山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター(INOEL)が経済産業省「地域オープンイノベーション拠点選抜制度」に採択。
・海外・国内グローバル企業や地域企業との産学連携活動を積極的に行い、更なる展開を目指す「国際展開型」の拠点として評価・選抜された。
・優れた拠点としていわゆる“お墨付き”による信用力向上が見込まれるほか、 経済産業省予算事業との連携強化等、伴走支援を今後3年間受けられる。有機エレクトロニクスや関連分野で、企業ネットワークのハブとして、更なる活動を推進する。
(概要)
INOELは、有機エレクトロニクスやその関連分野で先端技術の実用化を目指す開発拠点として、国内企業によるコンソーシアム型の産学連携、ドイツの企業等との複数機関連携を推進してきました。
今回の認定による直接的な予算補助等はありませんが、今後、予算申請の支援や広報面などで経済産業省の支援を受けることができます。強みである有機エレクトロニクスと関連分野で、これからも企業ネットワークのハブとしての存在感向上を目指し、産学連携や研究開発活動を推進します。
(今後の展望)
INOELでは、今回の認定のメリットである経済産業省の伴走支援を受け、
(1)ニーズファーストによる国内外の企業とのコンソーシアム型共同研究を主軸に、公的な大型研究開発プログラムも活用した自主採算運営の継続
(2)上流から下流までの「バリューチェーン型オープンイノベーション」のテーマを産業界からの人材招聘により隣接分野に拡大して推進
(3)国際的な取り組み(ジョイントシンポジウム、海外出展など)と国際業務(契約等)を強化し、1対1又は多対多の国際共同研究を推進します。
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3)金沢工業大学 革新複合材料研究開発センター
金沢工業大学 革新複合材料研究開発センターは文部科学省の国際科学イノベーション拠点整備事業に採択を受け2014年に設立されました。 2018年には文部科学省の地域科学技術実証拠点整備事業により実証拠点を増築し、オープンな研究開発エリアと秘匿性の高い実証開発エリアが隣接した、研究開発から社会実装までシームレスに研究開発ができる拠点となっています。
複合材料は、住宅設備から航空機・自動車への適用や新たに風力発電や燃料タンクさらには土木建築分野への適用が期待され、世界的な成長産業である一方で、日本では成長が見られず、特に炭素繊維は世界の約7割のシェアを国内メーカーが占めながら、その製品化は1割以下のシェアにとどまっています。
革新複合材料研究開発センターでは、複合材料の分野において特に製造技術の研究に焦点をおき、大学や企業単独では達成できない技術開発や新たな市場の開拓までを産学連携により実現を目指しています。
国内では、金沢工業大学が主催するほくりく先端材研究会(北陸地域を中心に約60社)での研究会やセミナーの実施、東海北陸地域の3大学(名古屋大学、岐阜大学、金沢工業大学)と公設試験研究機関が中心となり企業が参加するコンポジットハイウェイコンソーシアムでのネットワーク活動(約200社以上の参加)、また、企業技術者を革新複合材料研究開発センターの研究員として受け入れるメンバーシップ制度(約60社、70名)等により、企業とのネットワークを構築し、産学官連携、情報収集、情報発信等の活動を行っています。
また海外では、市場拡大が進み技術的先進地域である欧州との連携を重点的に行い、特にドイツの産業クラスターである Composites United e.v やフランスの EMC2と MOU(協力協定)を結び、相互訪問による技術交流、人材交流、国際共同研究等を実施しています。さらにアジア地域でも KCTEC(韓国)、PIDC(台湾)、プトラ大学(マレーシア)との MOU も締結し技術交流を図っています。
革新複合材料研究開発センターではこの度の選抜を受け、海外・国内のグローバル企業との産学連携活動を積極的に推進し、さらなる国際展開を目指します。
出典:https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2020/0410_icc.html
4)京都大学 バイオナノマテリアル共同研究拠点
持続的に生産されるバイオマス資源の利用に大きな関心が集まっています。京都大学では、古来より木材や竹を建築材料、紙などに使ってきましたが、これからは、自動車や電子機器の材料をバイオマス源から創ることが求められます。生物機能材料分野では、生物が進化の過程で獲得した機能と階層構造の関係を材料物性等を通じて理解し、それをバイオマス資源の構造要素化、ブレークダウンに適応、最低限のエネルギーで材料として最適化、利用することを目指しています。世界をリードして進めている、植物細胞壁の基本骨格物質:セルロースナノファイバーの製造と利用に関する研究はその一例です。
出典:京都大学生存圏研究所生物機能材料分野 ホームページ
https://www.rish.kyoto-u.ac.jp/labm/
https://www.rish.kyoto-u.ac.jp/labm/news/経産省地域オープンイノベーション拠点に選抜さ
5)大阪大学 フレキシブル3D実装協働研究所
大阪大学フレキシブル3D実装協働研究所は、大阪大学と企業とが協働で運営する研究所です。同研究所では、次世代パワー半導体実装、EV/HEV/FCV(※)、ドローンや電動航空機などの電動移動体機器実装、あるいは、5Gやウェアラブルヘルスケアのソフト実装などにAI技術を使用し、これら新技術の社会実装を推進すること。また、このための計測評価方法、評価基準を確立し、世界へ向けた普及活動を行うことを目指しています。
出典:大阪大学 フレキシブル3D実装協働研究所ホームページ
http://www.f3d.sanken.osaka-u.ac.jp/#/
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2020/04/1403
6)大阪大学 大阪大学核物理研究センター
大阪大学核物理研究センターが代表幹事を務める「量子アプリ共創コンソーシアム」は、2017年に(独)科学技術振興機構(JST)の「産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)」の採択を受け設立されました。
少子高齢化の急速な進展のもと、豊かな健康長寿社会、そして安全な超スマート社会を実現するため、同拠点では、加速器によってもたらされる多彩な量子ビームを用いて、放射性核種・中性子・ミューオンなどを生成し、これらを駆使して、関連する国内外の大学・研究機関・企業が共同して、下記の課題に取り組んでいます。
第一に、特殊な放射性核種を生成し、初診時進行がんに対する新たな治療法としてアルファ線核医学治療を開発することで、人類の健康寿命の延伸に貢献すること。
第二に、高強度の中性子やミューオンを用いて、IoTの発展が著しい現代において重要課題となった宇宙線起源ソフトエラーの評価と対策に取り組むことで、超スマート社会の安全を支えることを目指しています。
出典:大阪大学核物理研究センター https://www.rcnp.osaka-u.ac.jp
《地域貢献型》
7)福井大学 産学官連携本部
8)京都先端科学大学 京都先端科学大学
9)徳島大学 バイオイノベーション研究所
「J-Innovation HUB 地域オープンイノベーション拠点選抜制度」の第二回選抜拠点として下記5拠点が選抜されています。
出典:経済産業省ホームページ
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201224004/20201224004.html
《国際展開型》
名古屋大学 未来材料・システム研究所
神戸大学 先端膜工学研究センター
広島大学 ナノデバイス・バイオ融合科学研究所
《地域貢献型》
岩手大学 ものづくり技術研究センター
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(参考情報)
岩手大学ものづくり技術研究センター
これまで岩手大学が蓄積してきた金型技術、鋳造技術及び複合デバイス技術等、工学系分野の実績を活かし、これに農学分野、社会科学分野までを含めた全学体制でのものづくり技術の総合的研究拠点です。ものづくり技術に関する研究のさらなる発展を目指すとともに、研究成果とものづくり技術を地域産業等に提供し、新産業の創出及び高度専門技術者の育成を通じて地域産業等の発展及び岩手の基幹的産業の高度化を目指しています。
センターには「金型技術研究部門」、「鋳造技術研究部門」及び「生産技術研究部門」が置かれ、それぞれ「金型技術センター」、「鋳造技術センター」、「生産技術センター」と称しています。また、花巻市、奥州市、北上市の支援を受け3つのサテライトを設置し、地域連携型のものづくり研究開発拠点として日々活動しています。
今後の展開
経済産業省の伴走支援を受けながら、地域イノベーションHUBとして、さらなる成長を目指すとともに、企業との共同研究の増加や外部資金を活用した連携事業の創出を目指していきます。
出典:岩手大学ホームページ
https://www.iwate-u.ac.jp/info/news/2020/12/003839.html
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会津大学 産学イノベーションセンター・復興支援センター