株式会社キャンパスクリエイト

お客様の課題解決を
産学官連携・オープンイノベーションで実践する広域TLO

TEL 042-490-5734

(調布オフィス)
〒182-8585 東京都調布市調布ヶ丘1-5-1
国立大学法人電気通信大学産学官連携センター内

おもてなし規格認証2019 KAIKA Awards 特選紹介事例を受賞

産学連携の事例

テーマ名 AI搭載画像認識・検査支援システム
企業名 株式会社シーデックス
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AI搭載画像認識・検査支援システム
AI搭載画像認識・検査支援システム
概要

(連携のきっかけ)
当社はLSI /FPGAの設計/ドライバ開発/アプリケーション開発等の受託開発を行っており、またUHF帯 RFIDリーダーライターをはじめ、RFIDを活用した物品管理システムなどの自社製品開発も手掛けています。
最近、弊社の新たな事業として、AIによる画像認識に取り組んでおり、魚卵工場の生産ラインで使用する画像処理による異物検出システムを開発しました。システム開発にあたり、検出精度に課題があり、産学連携で取り組めないかとキャンパスクリエイトさんに相談しました。また、製品の自社開発を今後も行っていくにあたっては、大学との産学連携や異業種間のアライアンスを推進することが重要であるとの思いから、電気通信大学のアライアンスセンターへの入居を考えました。

(技術内容)
今回開発したのは、魚卵工場の生産ラインにおいて、ベルトコンベアで流れてくる魚卵の中に混入する異物を検出し、除去する装置です。
食品製造業の現場では、他の業種と比べ人手による作業が多く、特に中小規模の工業では自動化が進まないという課題があります。更に、地方の工場では働き手の高齢化が進み、人員の確保が困難になりつつあります。また、食品衛生の観点から高い品質水準が求められ検査精度の向上が必要です。
魚卵工場からこれらの課題を聞いて、弊社のAI技術により解決できないかと考え開発に着手しました。開発にあたっては、異物や不良品となっている魚卵の学習データが少ない中、精度を上げる必要があり、電気通信大学と共同研究を行うと共に自社でも継続した開発を行い目標の精度を達成しました。また、異物検出はできたものの、魚卵工場の現場では異物が自動で取り除けないと利用しにくいと分かり、更に電気通信大学の知能機械工学の研究者に相談し自動除去装置も開発することになりました。
本装置はフィッシュネクスト技術展2023に出展し、水産加工業者様から多くの反響をいただきました。

(キャンパスクリエイトから受けたサポート内容)
キャンパスクリエイトさんには、10年以上前から産学連携やオープンイノベーションに関する相談をしていました。自社開発やアライアンスの活動に力を入れ始めた数年前より改めて具体的な相談をし、電気通信大学の研究者やアライアンスセンターの活動についても紹介してもらいました。

(研究者と連携した感想)
研究者は専門知識に長けており、共同研究を行うことで、自分たちだけでは収集できない情報を提供してくださると共に、解決手段のアドバイスをもらうことができます。ただとても忙しく企業での開発スピードと研究の進捗が合わないこともありました。そのため大学と共同研究を行う際には、すべてを研究者に丸投げするのではなく、自社が主導で開発を推し進める必要があると思います。

株式会社シーデックス 代表取締役 小原操

テーマ名 草刈機の自律走行
企業名 株式会社筑水キャニコム
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草刈機の自律走行
草刈機の自律走行
概要

(連携のきっかけ)

当社は運搬車、草刈機などの製造メーカーです。福岡県うきは市に本社があり、現在64カ国と取引きを行っています。

 

電気通信大学の共同研究を開始した当初、当社は草刈機の自動走行技術の研究開発を検討しており、ちょうどそのころ電気通信大学の100周年記念事業として企業と大学の連携を促進するため設立が計画されていたアライアンスセンターへの入居を決め、電気通信大学との共同研究を行うこととしました。電気通信大学で飛行ロボットの自律走行を研究している田中一男教授が、当社と共同研究を行うことになりました。

 

電気通信大学との共同研究にあたって、社内で公募を行い、アライアンスセンターに常駐し本研究を推進する意欲のある社員の立候補を募りました。

 

今もスタート当時に立候補した社員が中心となって研究を進めています。

 

(技術内容)

草刈り作業においては、高齢化などによる人手不足のため、更なる省力化が求められています。

 

そこで、電気通信大学との共同研究では、田中研究室の自律制御技術を応用し、GNSSやIMUユニット等の電子デバイスを用いた、作業効率を改善した次世代の自律走行草刈機を開発しています。本共同研究ではコア技術となる自律制御部分を開発するノウハウを社内に蓄積する事が大きな目的でもあり、研究室に当社の研究員を配置し、田中教授や学生さんたちと共に、常に関わりながら研究開発をしています。特に制御技術開発に欠かせないシミュレーション技術においては、MATLABなど専用ツールのノウハウを学び、今後自社内での開発に生かせる自律制御技術の習得ができています。

 

現在、当社製品の乗用草刈機「まさお」に、開発した自律制御プログラムを実装した草刈りの実証試験を実施しています。

 

(キャンパスクリエイトから受けたサポート内容)

大学との契約手続きの調整をはじめ、実証実験の場所の手配など、側面のサポートをしていただいています。また、自律制御に欠かせないセンサー技術の情報をいただくこともあります。

 

(研究者と連携した感想)

田中教授には共同研究を開始した当初から当社の研究スケジュールに合わせ積極的なご指導をいただいています。当社では今まで行ったことがなかった自律制御の開発に関して、アルゴリズムの妥当性や走行試験のデータ評価に関する留意点など、適切なアドバイスをいただいており円滑に研究が進められています。また、田中教授の研究室内での作業時には、学生さんと議論を行っており、異なった開発環境による良い刺激を受けながら進める事ができています。

 

報告資料の書き方等でも現役学生以上にアドバイスをいただいており、一研究員としてまだまだ学びの多いことを実感しながら、日々共同研究を進めています。

 

(電気通信大学 田中 一男研究室について)

Website  https://sites.google.com/site/tanaka2lab/home

Twitter https://twitter.com/SmartControlUEC

テーマ名 生体組織凍結保存袋およびその封止技術の研究開発と事業化
企業名 上田製袋株式会社
参考写真
生体組織凍結保存袋およびその封止技術の研究開発と事業化
概要

 

(連携のきっかけ)
2009年のインターフェックスジャパンのブースで初めてレーザー溶着技術に出会いました。弊社は主として医療用の滅菌バッグ(袋)を熱板溶着で作る会社ですが、新たな溶着方法として無限の可能性を感じ、すぐにコンソーシアムに入会しました。

 

(技術内容)
ヒートシンク式レーザ樹脂溶着法は、透明な樹脂フィルム同士をその表面に密着させた放熱板(ヒートシンク)を介して熱を適切に放熱させることで、フィルム表面は損傷させずにきれいなまま、内部のみを溶着させる技術です。その主たる溶着対象材料の一つであるフッ素樹脂は、優れた物理特性、化学特性を有するものの、その融点の高さから従来の熱版方式では溶着が困難でした。そうしたフッ素樹脂がきれいに溶着できることは画期的な技術と言えます。
一方、一部の医療分野においてフッ素樹脂が活躍し得る領域を見出すことができました。それは生体組織移植分野で、検体からご提供頂いた生体組織(例えば心臓弁、血管など)を凍結保存しておき、それらの移植が必要になった患者さんが現れたときに、凍結保存していた生体組織を常温解凍して移植に用いる、という治療がすでに開始されています。ここでは、生体組織の長期安定保存を実現するために液体窒素温度(マイナス196℃)という極低温環境での保存が行われていますが、その保存用の容器(バッグ)の素材としては適切な選択が必要になります。即ち、一般的に多く流通しているバッグ用の樹脂素材、塩化ビニル、ポリエチレン、EVA樹脂などは全て、液体窒素温度では脆化し、割れたり破れたりする恐れがあります。生体組織の保存用バッグにおいて破れが生じると、内部に保存されている貴重な組織が汚染され移植に使用することができなくなりますので、生体組織の凍結保存用のバッグには液体窒素温度での高い信頼性が求められます。

 

この点、フッ素樹脂は液体窒素温度にも耐えられる素材であり、フッ素樹脂を用いた凍結保存用バッグの実現は、最も好ましい解決策となります。そうしたフッ素樹脂フィルムを使いたいとのニーズと、その難加工性を解決するヒートシンク式レーザ樹脂溶着法は、非常に良いマッチングとなりました。

 

なお、一部の外国製品でフッ素樹脂を用いたバッグが提供されていますが、これらは価格が非常に高く、更に海外製品として供給も不安定で将来的な不安もあり、国産バッグの安定的な調達が望まれています。本テーマは、医療用機器/器具の国産化という大きな方向性にも合致するものです。

 

 

※生体組織保存液を封止した凍結保存バッグの一例

 

(研究開発の成果の概容)

ヒートシンク式レーザ樹脂溶着法を応用したフィルムの溶着装置を試作しました。これは、レーザーとしてCO2ガスレーザー(赤外波長)を採用し、大面積ヒートシンクが組み込まれており凡そA5判程度の大きさの溶着対象フィルム(ワーク)に対応できます。ワークはXYステージ上に配置され、レーザーの点描画の特性を生かして直線や曲線の自在な溶着線の加工を可能としています。従ってバッグの用途によって大きさや形のフレキシブルなデザイン作成に対応できます。

 

一方、生体組織を保存する医療現場、研究現場などでは、オンサイトで封止するための手段も必要となります。我々は、移動可能な病院向けの封止装置も開発しています。バッグに保存液などの液体を入れた状態で、中身をこぼさないような形で装置にセッティングでき、同じくレーザーによりそのままバッグの口を閉じることができます。

 

※溶着装置外観(開発品)

※病院向け封止装置(開発品)

 

※バッグ形状のフレキシブルな作製例

 

フッ素樹脂にも多くの種類があり、CO2レーザとの組み合わせでは得手不得手もありますが、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂)、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)などは非常に相性が良く、最適溶着条件の導出のノウハウなども蓄積しています。適切に溶着されたフィルムは、その断面を観察しても2枚のフィルムの向き合う中心部の界面だけが溶けて一体化し、表面は熱損傷していないことが示されます。

 

※100μ厚FEPフィルムを2枚重ねて溶着した例

 

詳しくは下記をご参照ください。

透明プラスチック同士を表面がきれいなまま接合するレーザ溶着技術

https://www.open-innovation-portal.com/corporate/manufacture/lawp.html

 

(実用化状況について)

展示会や弊社ウェブサイトなどを通じて、徐々にですが本技術が認知されてきており、「フッ素樹脂材料でこんなものを作りたいがこれまで対応できるところがなかった。」といった試作依頼なども頂くようになりました。まだまだ製品として確立した形での上市には至っておりませんが、試作のご要望にもお応えする中で弊社としてもノウハウを積み上げつつ、技術のブラッシュアップに努めております。

 

(特許取得)

「凍結保存用バッグの製造装置」「凍結保存用バッグの封口装置」「凍結保存用バッグ、および封入方法」についてそれぞれ特許を出願し、「封口装置」については先行して国内特許が成立しており、更に海外出願の手続きも進めています。

 

(東大との共同研究)

東京大学医学部附属病院組織バンクとの共同研究、東邦大学医療センターとの共同研究を進めており、関係するドクターの方々にアドバイザとして参画頂くことで開発推進体制を構築しています。

 

(キャンパスクリエイトから受けたサポート内容)

コンソーシアムでの情報提供は大変参考になります。また具体的な装置開発においては、レーザー溶着技術の適用に関する技術サポート、溶着手法に関するノウハウの提供など日常的にご支援を頂いています。

資金面では公的補助金の採択が非常に大きな支えとなってくれていますが、そうした補助金への応募に際して、申請書の作成など助成金事業での相談サポートも頂いています。結果、

ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金(中小企業庁)、おおさか地域創造ファンド重点プロジェクト(大阪産業振興機構)、医療機器研究開発支援事業補助金(大阪府)、中小企業知的財産活動支援事業費補助金(ジェトロ)等に採択され、資金面では大いに助かりました。

 

(研究者と連携した感想)

黒崎先生は非常に温厚な方で、何かにつけご相談しやすくご援助賜りました。先生は民間企業に籍を置いておられたこともあるので、弊社の立場などもご理解頂き、的確なアドバイスを頂いております。また、佐藤先生には日頃より主としてご担当頂いております。お忙しい中大阪へも度々お越し頂き、技術サポートから企業連携の仲介、補助金対応支援まで適切なご指導を頂き、よろずご相談できる心強い存在です。特に技術的なサポートは大変ありがたいです。レーザーのみならす周辺情報や技術も教えてもらえるので、社内への技術導入に役立っています。

 

弊社の主力事業である滅菌バッグを各医療機器メーカー様に継続的に供給していくことに加えて、凍結保存用フッ素樹脂バッグを事業化することで、我が国の医療に貢献し、弊社の経営理念にも述べている「安心の笑顔の起源」となる会社を目指しています。今後とも一層のご支援ご鞭撻をお願い申し上げます。

 

上田製袋株式会社 代表取締役 上田克彦

テーマ名 純国産のハイパースペクトルカメラ/マルチスペクトルカメラの販路開拓
企業名 北海道衛星株式会社
参考写真
純国産のハイパースペクトルカメラ/マルチスペクトルカメラの販路開拓
概要

(連携のきっかけ)

 キャンパスクリエイトさんは企業からの要望に応じて全国から最適な研究者や企業とのマッチングをされているのですが、ある企業さんが行っている実験の化学反応分析についてハイパースペクトルカメラが利用できるのではないかとお問い合わせいただいたのがきっかけです。その実験では実際にハイパースペクトルカメラを導入いただきました。

(技術内容)

 ハイパースペクトルカメラ、マルチスペクトルカメラの2種類を開発・製造・販売しています。

ハイパースペクトルカメラは広い波長域(標準モデルでは350nm1050nm)の反射スペクトルデータを5nm刻みの141色(141バンド)で一度に取得できるカメラです。一般のカメラではRGB3つのスペクトルデータを取得して画像化していますが、141色で撮影することで、特定の波長域における化学変化を捉えること、あるいは、複数の波長域でのスペクトルデータの特徴を元に起こっている現象を分析することなど今まで見えなかった現象の可視化を実現しています。

 

マルチスペクトルカメラは任意の5バンド(+RGB3バンド)を自由に選択して反射スペクトルを抽出・分析するカメラです。バンド数は限られますが、費用はハイパースペクトルカメラと比較して安価なので、観察したいバンドが限られているケースでは適しています。

 

ハイパースペクトルカメラを使用した分析事例をご紹介します。

(人体用途)

1)飲酒後(左)と飲酒前(右)です。飲酒運転の防止などに活用可能です。

2)眼底検査、網膜診断、瞳孔検査、皮膚損傷、色素障害の計測など。

3)アルコール検査のほか、偽造通過・チケット・書類の評価判定、麻薬、血痕、印刷物の表層物検出、特殊印刷や偽造防止技術の研究、整形手術の痕跡検査など、犯罪防止用途にも適用可能です。

ハイパースペクトル_飲酒.JPG

(医療用途)

1)正常部位と癌部位でスペクトルが異なるため、癌組織の検出が可能です。

2)皮下の血管状態の判別が可能です。

3)タンパク質、アミノ酸、カルシウム、DNARNA関連の計測も可能です。

ハイパースペクトルカメラ_医療用途.jpg

 

(工業用途)

1)誘電体膜の空間分布の検査例です。数nm単位の膜厚誤差が測定可能です。フィルムやガラスコーティングのムラ・異物・欠陥計測や、成膜プロセス管理、半導体ウエハー検査など、様々な膜厚検査・膜厚管理用途へ適用可能です。

2)LCDのカラー計測や品質管理など、異物検出用途へ適用可能です。

3)電子材料のスペクトルセンシングや材料の吸収/反射/透過特性の分析など材料の検査・分析用途に適用可能です。燃焼反応(メタン等)の分析も可能です。

ハイパースペクトルカメラ_ウエハ検査.JPG

(食品用途)

1)肉類、魚類の鮮度評価が可能です。

2)農産物の生育モニタリングや収穫時期予測や、花の開化時期予測、気候変動に強い農産物研究や遺伝子組み換え食品の品質測定などにも適用可能です。

3)同色(トマト・パプリカ・りんごなど)でも、スペクトルの違いから見分けることが可能です。食肉生産ラインでの検査や分類自動化、糖度測定、成熟度測定、食品中の異物混入分析なども可能です。

4)農薬を可視化することが可能です。安全性評価に活用できます。

ハイパースペクトル_食品.JPG

(化学品、医療用途)

1)ファンデーションの皮膚への乗り具合を可視化できます。

2)肌の水分量、カサツキを可視化可能です。

3)錠剤スペクトルデータの測定や、生体の液中濃度測定、毒素物検査、調剤調合プロセスの品質管理、創薬研究などに活用可能です。

ハイパースペクトルカメラ_ファンデーション.JPG

(リモートセンシング)

1)木や草の植生分布を可視化できます。品種に応じた分析も可能です。

2)鉱物資源(レアメタル等)の探査、鉱物内の材料分析、鉱物採掘プロセスのモニタリングなどへ適用可能です。

3)災害・薬害・環境変動の計測、環境汚染の計測、海洋計測等にも活用可能です。

ハイパースペクトル_リモート.JPG

ハイパースペクトルカメラ/マルチスペクトルカメラともに共通する特徴は、純国産であることです。もともとは宇宙衛星で利用するリモートセンシング用のセンサとして開発していたのですが、地上でも使用できるスピンオフ技術として開発・製品化しました。海外メーカー製も市場に出ていますが、当社の製品の方が安価であり、特注カスタマイズやリース、保守対応などご要望に応じてフレキシブルな提案が可能です。

 

詳しくは下記をご参照ください。

純国産ハイパースペクトルカメラによる非破壊計測法
https://www.open-innovation-portal.com/corporate/manufacture/hyper.html

計測波長の組合せを自由に選択できるマルチスペクトルカメラ

https://www.open-innovation-portal.com/corporate/it/multi-spectrum.html

(キャンパスクリエイトから受けたサポート内容)

販路開拓に関する業務提携契約を締結し、キャンパスクリエイトさんに首都圏の企業を中心に営業活動を行っていただいています。自動車メーカー、化粧品メーカー、研究機関、光学機器メーカー、製薬メーカー、食品メーカーを中心に様々な業種の方をご紹介いただきました。大学発ベンチャーだと資金・営業人員に限りがある中で開発・製造を進める必要がありますし、地方にいると交通の不便さもあるので、首都圏で営業活動を行っていただくのはとても助かっています。

 北海道衛星株式会社 代表取締役社長 佐鳥 新

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テーマ名 純チタンを高強度にする加工技術「多軸鍛造法」の研究開発と事業化
企業名 川本重工株式会社
参考写真
純チタンを高強度にする加工技術「多軸鍛造法」の研究開発と事業化
概要

(連携のきっかけ)

 実は当社とお付き合いがあった企業の方からご紹介を受けたのがきっかけです。というのは、「多軸鍛造法」を研究している三浦先生(当時は電気通信大学所属)がキャンパスクリエイトさんにシーズの実用化を希望する企業を探したいと相談したそうなのですが、この加工技術は大型のプレス機が必須なので、キャンパスクリエイトさんがプレス機を持っている企業を探すことを目的として、地域で広いネットワークを持っている機関や企業にお声掛けされたそうです。まわりまわって当社に話が届きました。

 当社は大型部品の受託加工を事業としており加工機も豊富なので、技術内容をお聞きしてとても面白いと思い取り組むことにしました。

(技術内容)

多軸鍛造法は、金属材料に対して特殊な鍛造加工を行うことで、組成を変えずに組織を微細化することで機械的特性を大幅に改善する技術です。

金属は純チタンとマグネシウム合金が対象ですが、純チタンはチタン合金と同等以上の高強度性、マグネシウム合金は超々ジュラルミンを超える引張強度を実現しています。

 純チタンは軽量性と強度、高耐食性など優れた物性があるので様々な用途に用いられますし、マグネシウム合金は筐体や航空部品、自動車部品、自転車部品など強度と軽量性を求められる用途が多いので、多くの企業の方にお引き合いをいただいています。

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純チタンの加工後の物性データは下記の通りですが、純チタンで最大引張応力1084MPaを実現していることが大きな特徴です。また、チタンは難加工材に分類されますが、チタン合金と比較し切削時間は1/2程度で切削コスト・手間が半減すること、曲げ加工性に優れていること、耐摩耗性が純チタンの1.5倍以上であることなど多くのメリットがあります。

純チタンは生体適合性に優れているのでインプラント材としても使用可能です。

 

マグネシウム合金を加工した場合は562MPaを達成しています。降伏応力も483MPaと多軸鍛造を行う前の約5倍であるため、加工性に優れています。

詳しくは下記をご参照ください。

多軸鍛造法によるチタン合金と同等以上の強度を持つ高強度純チタン

https://www.open-innovation-portal.com/corporate/manufacture/titaniumalloy.html

多軸鍛造法による高強度・高加工性の超微細粒マグネシウム(Mg)合金

https://www.open-innovation-portal.com/corporate/manufacture/mg.html

出荷も既に開始しています。

(キャンパスクリエイトから受けたサポート内容)

 産学連携が始めてで分からないことも多かったのですが、金属素材の製作と加工理論に関するご指導を三浦先生、工場で加工を行うのが当社、加工後の性能確認の評価を三浦先生および当社で行うように、キャンパスクリエイトさんが都度調整し円滑に開発を進めていけています。

また、公的補助金の活用をご提案いただき、ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金(中小企業庁)、A-STEP(フェーズⅡ)に採択されました。ものづくりはトライアンドエラーでなにせ設備や部品費、加工費が伴うので非常に助かりました。

研究開発以外での支援としても、販路開拓についてご協力いただき、インプラントメーカー、自動車メーカー関連、音響機器メーカー、日用品メーカーなど導入に関心がある企業の方をご紹介いただいています。

(研究者と連携した感想)

 当社と豊橋技術科学大学との間には地理的な距離があるのですが、非常に積極的で親切な方で、日常的に当社の工場にお越しいただき、実験を一緒に行ったり実験結果の分析を行っていただいたりと研究だけでなく実用化への熱意にあふれています。企業のビジネスへの考え方を察していただいているので、とてもお付き合いがしやすい方です。

Best Quality & Best Technology」が当社のモットーです。この技術を世の中に普及させることで、お客様の更なるご要望に対応していきます。ご期待ください!

 川本重工株式会社 代表取締役 川本 忠博

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