テーマ名 | 純国産のハイパースペクトルカメラ/マルチスペクトルカメラの販路開拓 |
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企業名 | 北海道衛星株式会社 |
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概要 |
(連携のきっかけ) キャンパスクリエイトさんは企業からの要望に応じて全国から最適な研究者や企業とのマッチングをされているのですが、ある企業さんが行っている実験の化学反応分析についてハイパースペクトルカメラが利用できるのではないかとお問い合わせいただいたのがきっかけです。その実験では実際にハイパースペクトルカメラを導入いただきました。 (技術内容) ハイパースペクトルカメラ、マルチスペクトルカメラの2種類を開発・製造・販売しています。 ハイパースペクトルカメラは広い波長域(標準モデルでは350nm~1050nm)の反射スペクトルデータを5nm刻みの141色(141バンド)で一度に取得できるカメラです。一般のカメラではRGBの3つのスペクトルデータを取得して画像化していますが、141色で撮影することで、特定の波長域における化学変化を捉えること、あるいは、複数の波長域でのスペクトルデータの特徴を元に起こっている現象を分析することなど今まで見えなかった現象の可視化を実現しています。
マルチスペクトルカメラは任意の5バンド(+RGBの3バンド)を自由に選択して反射スペクトルを抽出・分析するカメラです。バンド数は限られますが、費用はハイパースペクトルカメラと比較して安価なので、観察したいバンドが限られているケースでは適しています。
ハイパースペクトルカメラを使用した分析事例をご紹介します。 (人体用途) 1)飲酒後(左)と飲酒前(右)です。飲酒運転の防止などに活用可能です。 2)眼底検査、網膜診断、瞳孔検査、皮膚損傷、色素障害の計測など。 3)アルコール検査のほか、偽造通過・チケット・書類の評価判定、麻薬、血痕、印刷物の表層物検出、特殊印刷や偽造防止技術の研究、整形手術の痕跡検査など、犯罪防止用途にも適用可能です。 (医療用途) 1)正常部位と癌部位でスペクトルが異なるため、癌組織の検出が可能です。 2)皮下の血管状態の判別が可能です。 3)タンパク質、アミノ酸、カルシウム、DNA、RNA関連の計測も可能です。
(工業用途) 1)誘電体膜の空間分布の検査例です。数nm単位の膜厚誤差が測定可能です。フィルムやガラスコーティングのムラ・異物・欠陥計測や、成膜プロセス管理、半導体ウエハー検査など、様々な膜厚検査・膜厚管理用途へ適用可能です。 2)LCDのカラー計測や品質管理など、異物検出用途へ適用可能です。 3)電子材料のスペクトルセンシングや材料の吸収/反射/透過特性の分析など材料の検査・分析用途に適用可能です。燃焼反応(メタン等)の分析も可能です。 (食品用途) 1)肉類、魚類の鮮度評価が可能です。 2)農産物の生育モニタリングや収穫時期予測や、花の開化時期予測、気候変動に強い農産物研究や遺伝子組み換え食品の品質測定などにも適用可能です。 3)同色(トマト・パプリカ・りんごなど)でも、スペクトルの違いから見分けることが可能です。食肉生産ラインでの検査や分類自動化、糖度測定、成熟度測定、食品中の異物混入分析なども可能です。 4)農薬を可視化することが可能です。安全性評価に活用できます。 (化学品、医療用途) 1)ファンデーションの皮膚への乗り具合を可視化できます。 2)肌の水分量、カサツキを可視化可能です。 3)錠剤スペクトルデータの測定や、生体の液中濃度測定、毒素物検査、調剤調合プロセスの品質管理、創薬研究などに活用可能です。 (リモートセンシング) 1)木や草の植生分布を可視化できます。品種に応じた分析も可能です。 2)鉱物資源(レアメタル等)の探査、鉱物内の材料分析、鉱物採掘プロセスのモニタリングなどへ適用可能です。 3)災害・薬害・環境変動の計測、環境汚染の計測、海洋計測等にも活用可能です。 ハイパースペクトルカメラ/マルチスペクトルカメラともに共通する特徴は、純国産であることです。もともとは宇宙衛星で利用するリモートセンシング用のセンサとして開発していたのですが、地上でも使用できるスピンオフ技術として開発・製品化しました。海外メーカー製も市場に出ていますが、当社の製品の方が安価であり、特注カスタマイズやリース、保守対応などご要望に応じてフレキシブルな提案が可能です。
詳しくは下記をご参照ください。 純国産ハイパースペクトルカメラによる非破壊計測法 計測波長の組合せを自由に選択できるマルチスペクトルカメラ https://www.open-innovation-portal.com/corporate/it/multi-spectrum.html (キャンパスクリエイトから受けたサポート内容) 販路開拓に関する業務提携契約を締結し、キャンパスクリエイトさんに首都圏の企業を中心に営業活動を行っていただいています。自動車メーカー、化粧品メーカー、研究機関、光学機器メーカー、製薬メーカー、食品メーカーを中心に様々な業種の方をご紹介いただきました。大学発ベンチャーだと資金・営業人員に限りがある中で開発・製造を進める必要がありますし、地方にいると交通の不便さもあるので、首都圏で営業活動を行っていただくのはとても助かっています。 |
テーマ名 | 純チタンを高強度にする加工技術「多軸鍛造法」の研究開発と事業化 |
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企業名 | 川本重工株式会社 |
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概要 |
(連携のきっかけ) 実は当社とお付き合いがあった企業の方からご紹介を受けたのがきっかけです。というのは、「多軸鍛造法」を研究している三浦先生(当時は電気通信大学所属)がキャンパスクリエイトさんにシーズの実用化を希望する企業を探したいと相談したそうなのですが、この加工技術は大型のプレス機が必須なので、キャンパスクリエイトさんがプレス機を持っている企業を探すことを目的として、地域で広いネットワークを持っている機関や企業にお声掛けされたそうです。まわりまわって当社に話が届きました。 当社は大型部品の受託加工を事業としており加工機も豊富なので、技術内容をお聞きしてとても面白いと思い取り組むことにしました。 (技術内容) 多軸鍛造法は、金属材料に対して特殊な鍛造加工を行うことで、組成を変えずに組織を微細化することで機械的特性を大幅に改善する技術です。 金属は純チタンとマグネシウム合金が対象ですが、純チタンはチタン合金と同等以上の高強度性、マグネシウム合金は超々ジュラルミンを超える引張強度を実現しています。 純チタンは軽量性と強度、高耐食性など優れた物性があるので様々な用途に用いられますし、マグネシウム合金は筐体や航空部品、自動車部品、自転車部品など強度と軽量性を求められる用途が多いので、多くの企業の方にお引き合いをいただいています。 純チタンの加工後の物性データは下記の通りですが、純チタンで最大引張応力1084MPaを実現していることが大きな特徴です。また、チタンは難加工材に分類されますが、チタン合金と比較し切削時間は1/2程度で切削コスト・手間が半減すること、曲げ加工性に優れていること、耐摩耗性が純チタンの1.5倍以上であることなど多くのメリットがあります。 純チタンは生体適合性に優れているのでインプラント材としても使用可能です。
マグネシウム合金を加工した場合は562MPaを達成しています。降伏応力も483MPaと多軸鍛造を行う前の約5倍であるため、加工性に優れています。 詳しくは下記をご参照ください。 多軸鍛造法によるチタン合金と同等以上の強度を持つ高強度純チタン https://www.open-innovation-portal.com/corporate/manufacture/titaniumalloy.html 多軸鍛造法による高強度・高加工性の超微細粒マグネシウム(Mg)合金 https://www.open-innovation-portal.com/corporate/manufacture/mg.html 出荷も既に開始しています。 (キャンパスクリエイトから受けたサポート内容) 産学連携が始めてで分からないことも多かったのですが、金属素材の製作と加工理論に関するご指導を三浦先生、工場で加工を行うのが当社、加工後の性能確認の評価を三浦先生および当社で行うように、キャンパスクリエイトさんが都度調整し円滑に開発を進めていけています。 また、公的補助金の活用をご提案いただき、ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金(中小企業庁)、A-STEP(フェーズⅡ)に採択されました。ものづくりはトライアンドエラーでなにせ設備や部品費、加工費が伴うので非常に助かりました。 研究開発以外での支援としても、販路開拓についてご協力いただき、インプラントメーカー、自動車メーカー関連、音響機器メーカー、日用品メーカーなど導入に関心がある企業の方をご紹介いただいています。 (研究者と連携した感想) 当社と豊橋技術科学大学との間には地理的な距離があるのですが、非常に積極的で親切な方で、日常的に当社の工場にお越しいただき、実験を一緒に行ったり実験結果の分析を行っていただいたりと研究だけでなく実用化への熱意にあふれています。企業のビジネスへの考え方を察していただいているので、とてもお付き合いがしやすい方です。 「Best Quality & Best Technology」が当社のモットーです。この技術を世の中に普及させることで、お客様の更なるご要望に対応していきます。ご期待ください! 川本重工株式会社 代表取締役 川本 忠博 |
テーマ名 | 高速情報検出デバイス「SLID」の研究開発 |
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企業名 | 株式会社エイ・オー・テクノロジーズ |
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概要 |
当初、SLID(Search-Less Information Detector)と呼ぶ半導体デバイスのアイディアを発案し基本特許を出願するまで行いましたが、実際に製品化するにはモノを作らなければなりません。ただし私自身では開発を行う技術は無く、産学連携を通じて実現したいと思いキャンパスクリエイトさんに相談したところ、最初の段階では専門分野が並列処理の電気通信大学の曽和先生から様々なアドバイスを頂き、最終的に電子回路や半導体回路がご専門の範先生との共同研究にいたりました。 SLIDは今までのコンピュータ処理の常識を一新する全く新しい考え方のコンピューティング技術なので、当初は先生方にご理解いただくのにも大変時間が掛かりましたが、キャンパスクリエイトさんのコーディネータの方に何度もご訪問させていただくよう取り計らっていただいたことで範先生に技術をご理解いただくとともに、信頼関係に繋がったものと考えています。 (技術内容) SLIDの原理を正しくご理解いただくにはしっかりご説明する必要があるのですが、かいつまんで説明すると、この技術はコンピュータのメモリの中から必要なデータを探す処理、つまり検索、照合、認識などの処理を大幅に速くする技術です。CPUで検索、照合、認識処理を行う場合、メモリの全アドレス空間に対して逐次処理を行うので膨大な検索時間が必要となります。それに対し、SLIDに対象となる情報を記憶させておき、SLIDに探したいデータの条件を与えると、SLID自身が該当する全アドレス空間を一括処理で検出するため検索時間も、検索に必要な電力も大幅に削減され、CPUによる検索、照合、認証処理が不要になるので、検索、照合、認識処理の複雑なプログラムが不要になります。 弊社での理論検証の結果、専用半導体化したSLIDデバイスの場合、従来の検索、照合、認証処理技術に比較して単位電力当り100万倍以上高速化できる見通しが得られており、FPGAによるSLIDデバイスでも大幅に高速です。 もちろん、SLIDは検索、照合、認識処理の専用デバイスで、CPUが苦手な、されど非常に重要な処理をSLIDが担う、つまりSLIDはCPUの良きパートナーという位置付けです。 2015年4月に日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社様に特許の製造権及び販売権をライセンスし、同社は2016年1月5日にFPGAを用いた2種類の「高速情報検索デバイス」の製品(SOPf、DBPf)を搭載したシステムをリリースしました。DBPfはデータ検索専用デバイス、SOPfは全文検索専用デバイスを目的とした機器です。このシステムは一例として企業の会計処理や社内文書検索など大量データの管理・処理を大幅に高速化し、企業戦略の立案に資することや事務処理コストを大幅に削減するものと期待されております。 詳しくは下記をご参照ください。 http://www.ncd.co.jp/it/system-integration/irt/ SLIDはデータの検索のみならず画像処理、タンパク質の構造解析処理など様々な用途に活用可能です。今後も用途開発に向けて更なる研究開発を進めていきます。 (キャンパスクリエイトから受けたサポート内容) 当初の範先生とのコーディネートでお世話になったことはもちろんですが、実際に研究開発を進めていく上で公的補助金の活用について相談させていただき、無事採択され、試作品開発に繋げることができました。開発資金が乏しいベンチャー企業でありますので大変に助かりました。また、共同研究を行っていく上でも様々なアドバイスやフォローをしていただきました。 実用化するには、この技術を多くの方に知っていただき事業を立ち上げるための連携先・顧客を探さなければなりませんでした。「イノベーションジャパン」・「JST 新技術説明会」・「先端IT技術が拓く新ビジネス創出セミナー」「電気通信大学のビッグデータ基盤技術紹介と公的プロジェクト活用に向けたマッチングセミナー」での発表・展示など様々な機会を設けていただいたことでネットワークを作ることができました。 ようやく第一の製品を出すまでに至りましたが、今後もSLIDの普及や新たな事業展開に向けて引き続きお世話になりたいと考えております。 (研究者と連携した感想) 電気通信大学・範 公可 准教授はハードウェアシステムおよび集積回路設計の専門家であり、コンピュータサイエンスやコンピュータの利用技術まで大変に博識でSLIDの基本的な回路構成やFPGA並びにASICへの実装を対象とした装置開発、評価に関する研究開発を範研究室にて行っていただきました。 また、海外の展示会(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー:CES展)にJETROの支援を受けて出展するときにも準備をご協力いただくなど、実用化に向けて一体となってご協力いただきました。 IEEEが主催するICCE2012では範研究室に当時在籍していたLe Duc Hungさんが発表され、最優秀論文賞を受賞されました。大変名誉であることはもちろん、企業の立場からすれば世界中の方々に技術を知って頂き、技術に対する信頼感を得、多くの企業から引き合いをいただくことが出来ました。 この度の製品化は範先生のご協力なしには決して為しえなかった成果だと感謝しております。 株式会社エイ・オー・テクノロジーズ 代表取締役社長 井上 克己 |