テーマ名 | 草刈機の自律走行 |
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企業名 | 株式会社筑水キャニコム |
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概要 |
(連携のきっかけ) 当社は運搬車、草刈機などの製造メーカーです。福岡県うきは市に本社があり、現在64カ国と取引きを行っています。
電気通信大学の共同研究を開始した当初、当社は草刈機の自動走行技術の研究開発を検討しており、ちょうどそのころ電気通信大学の100周年記念事業として企業と大学の連携を促進するため設立が計画されていたアライアンスセンターへの入居を決め、電気通信大学との共同研究を行うこととしました。電気通信大学で飛行ロボットの自律走行を研究している田中一男教授が、当社と共同研究を行うことになりました。
電気通信大学との共同研究にあたって、社内で公募を行い、アライアンスセンターに常駐し本研究を推進する意欲のある社員の立候補を募りました。
今もスタート当時に立候補した社員が中心となって研究を進めています。
(技術内容) 草刈り作業においては、高齢化などによる人手不足のため、更なる省力化が求められています。
そこで、電気通信大学との共同研究では、田中研究室の自律制御技術を応用し、GNSSやIMUユニット等の電子デバイスを用いた、作業効率を改善した次世代の自律走行草刈機を開発しています。本共同研究ではコア技術となる自律制御部分を開発するノウハウを社内に蓄積する事が大きな目的でもあり、研究室に当社の研究員を配置し、田中教授や学生さんたちと共に、常に関わりながら研究開発をしています。特に制御技術開発に欠かせないシミュレーション技術においては、MATLABなど専用ツールのノウハウを学び、今後自社内での開発に生かせる自律制御技術の習得ができています。
現在、当社製品の乗用草刈機「まさお」に、開発した自律制御プログラムを実装した草刈りの実証試験を実施しています。
(キャンパスクリエイトから受けたサポート内容) 大学との契約手続きの調整をはじめ、実証実験の場所の手配など、側面のサポートをしていただいています。また、自律制御に欠かせないセンサー技術の情報をいただくこともあります。
(研究者と連携した感想) 田中教授には共同研究を開始した当初から当社の研究スケジュールに合わせ積極的なご指導をいただいています。当社では今まで行ったことがなかった自律制御の開発に関して、アルゴリズムの妥当性や走行試験のデータ評価に関する留意点など、適切なアドバイスをいただいており円滑に研究が進められています。また、田中教授の研究室内での作業時には、学生さんと議論を行っており、異なった開発環境による良い刺激を受けながら進める事ができています。
報告資料の書き方等でも現役学生以上にアドバイスをいただいており、一研究員としてまだまだ学びの多いことを実感しながら、日々共同研究を進めています。
(電気通信大学 田中 一男研究室について) |
テーマ名 | 生体組織凍結保存袋およびその封止技術の研究開発と事業化 |
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企業名 | 上田製袋株式会社 |
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概要 |
(連携のきっかけ)
(技術内容)
この点、フッ素樹脂は液体窒素温度にも耐えられる素材であり、フッ素樹脂を用いた凍結保存用バッグの実現は、最も好ましい解決策となります。そうしたフッ素樹脂フィルムを使いたいとのニーズと、その難加工性を解決するヒートシンク式レーザ樹脂溶着法は、非常に良いマッチングとなりました。
なお、一部の外国製品でフッ素樹脂を用いたバッグが提供されていますが、これらは価格が非常に高く、更に海外製品として供給も不安定で将来的な不安もあり、国産バッグの安定的な調達が望まれています。本テーマは、医療用機器/器具の国産化という大きな方向性にも合致するものです。
※生体組織保存液を封止した凍結保存バッグの一例
(研究開発の成果の概容) ヒートシンク式レーザ樹脂溶着法を応用したフィルムの溶着装置を試作しました。これは、レーザーとしてCO2ガスレーザー(赤外波長)を採用し、大面積ヒートシンクが組み込まれており凡そA5判程度の大きさの溶着対象フィルム(ワーク)に対応できます。ワークはXYステージ上に配置され、レーザーの点描画の特性を生かして直線や曲線の自在な溶着線の加工を可能としています。従ってバッグの用途によって大きさや形のフレキシブルなデザイン作成に対応できます。
一方、生体組織を保存する医療現場、研究現場などでは、オンサイトで封止するための手段も必要となります。我々は、移動可能な病院向けの封止装置も開発しています。バッグに保存液などの液体を入れた状態で、中身をこぼさないような形で装置にセッティングでき、同じくレーザーによりそのままバッグの口を閉じることができます。
※溶着装置外観(開発品) ※病院向け封止装置(開発品)
※バッグ形状のフレキシブルな作製例
フッ素樹脂にも多くの種類があり、CO2レーザとの組み合わせでは得手不得手もありますが、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂)、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)などは非常に相性が良く、最適溶着条件の導出のノウハウなども蓄積しています。適切に溶着されたフィルムは、その断面を観察しても2枚のフィルムの向き合う中心部の界面だけが溶けて一体化し、表面は熱損傷していないことが示されます。
※100μ厚FEPフィルムを2枚重ねて溶着した例
詳しくは下記をご参照ください。 透明プラスチック同士を表面がきれいなまま接合するレーザ溶着技術 https://www.open-innovation-portal.com/corporate/manufacture/lawp.html
(実用化状況について) 展示会や弊社ウェブサイトなどを通じて、徐々にですが本技術が認知されてきており、「フッ素樹脂材料でこんなものを作りたいがこれまで対応できるところがなかった。」といった試作依頼なども頂くようになりました。まだまだ製品として確立した形での上市には至っておりませんが、試作のご要望にもお応えする中で弊社としてもノウハウを積み上げつつ、技術のブラッシュアップに努めております。
(特許取得) 「凍結保存用バッグの製造装置」「凍結保存用バッグの封口装置」「凍結保存用バッグ、および封入方法」についてそれぞれ特許を出願し、「封口装置」については先行して国内特許が成立しており、更に海外出願の手続きも進めています。
(東大との共同研究) 東京大学医学部附属病院組織バンクとの共同研究、東邦大学医療センターとの共同研究を進めており、関係するドクターの方々にアドバイザとして参画頂くことで開発推進体制を構築しています。
(キャンパスクリエイトから受けたサポート内容) コンソーシアムでの情報提供は大変参考になります。また具体的な装置開発においては、レーザー溶着技術の適用に関する技術サポート、溶着手法に関するノウハウの提供など日常的にご支援を頂いています。 資金面では公的補助金の採択が非常に大きな支えとなってくれていますが、そうした補助金への応募に際して、申請書の作成など助成金事業での相談サポートも頂いています。結果、 ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金(中小企業庁)、おおさか地域創造ファンド重点プロジェクト(大阪産業振興機構)、医療機器研究開発支援事業補助金(大阪府)、中小企業知的財産活動支援事業費補助金(ジェトロ)等に採択され、資金面では大いに助かりました。
(研究者と連携した感想) 黒崎先生は非常に温厚な方で、何かにつけご相談しやすくご援助賜りました。先生は民間企業に籍を置いておられたこともあるので、弊社の立場などもご理解頂き、的確なアドバイスを頂いております。また、佐藤先生には日頃より主としてご担当頂いております。お忙しい中大阪へも度々お越し頂き、技術サポートから企業連携の仲介、補助金対応支援まで適切なご指導を頂き、よろずご相談できる心強い存在です。特に技術的なサポートは大変ありがたいです。レーザーのみならす周辺情報や技術も教えてもらえるので、社内への技術導入に役立っています。
弊社の主力事業である滅菌バッグを各医療機器メーカー様に継続的に供給していくことに加えて、凍結保存用フッ素樹脂バッグを事業化することで、我が国の医療に貢献し、弊社の経営理念にも述べている「安心の笑顔の起源」となる会社を目指しています。今後とも一層のご支援ご鞭撻をお願い申し上げます。
上田製袋株式会社 代表取締役 上田克彦 |