発明の名称 | 新規複素環式化合物及びその塩、並びに、発光基質組成物 |
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技術分野 | 環境/有機化学/無機化学 |
出願日 | 平成26年9月17日 |
出願番号 | 特願2014-189314 |
公開番号 | 特開2015-193584 |
登録番号 | |
出願人 | 国立大学法人電気通信大学 |
発明者 |
牧 昌次朗
丹羽 治樹 |
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概要 | 【要約】pHが中性付近の緩衝液への溶解性に優れ、ホタル生物発光系における発光基質として利用可能な新規化合物の提供。 【発明の詳細な説明】 本発明は、新規複素環式化合物及びその塩、並びに、発光基質組成物に関し、特には、pHが中性付近の緩衝液への溶解性に優れ、ホタル生物発光系における発光基質として利用可能な複素環式化合物に関するものである。 生物発光系の中でも、ホタルの発光系は、発光効率に優れた系として知られている。該ホタルの発光系においては、発光基質であるホタルルシフェリンが、発光酵素のホタルルシフェラーゼと、アデノシン三リン酸(ATP)及びマグネシウムイオン(Mg2+)の存在下、励起状態のオキシルシフェリンに変換され、該オキシルシフェリンが基底状態へと失活する際に波長が約560nmの黄緑色の蛍光が発せられる。 また、昨今、かかるホタルの発光系の発光基質の類似体として、多彩な発光波長を実現する化合物が合成されている。例えば、下記特許文献1には、ホタルルシフェリンのフェノール性水酸基を2級又は3級アミノ基で置換したルシフェリン誘導体が開示されている。また、下記特許文献2及び3には、ホタルルシフェリンと類似の分子構造を有するルシフェラーゼの発光基質が開示されている。 これらのホタルルシフェリン類似体の中でも、長波長の光を発する発光基質は、長波長光は生体内での透過率が高いため、生体内深部の病巣を可視化するための標識材料として有望であり、例えば、和光純薬工業株式会社から商品名「アカルミネ」として、長波長光を発するホタルルシフェリン類似体が市販されている。 しかしながら、上記ホタル発光系の発光基質類似体は、多彩な発光波長を実現できるものの、水溶性が低く、特に、生体内深部の可視化に有用な長波長光を発する発光基質で顕著である。一般に、マウスやラット等の実験動物の生体内への投与においては、発光基質は1~15mg/ml程度の溶解度を有することが必要であるが、上記の長波長光を発する発光基質は、水への溶解度が約0.1mg/mlであり、実用性に問題が有った。 これに対して、本発明者らは、特定の分子構造を有し、ホタル生物発光系における発光基質として機能する水に難溶性の発光基質を、ハロゲン化水素で塩化することで、ホタル生物発光系における発光能を保持しつつ、水溶性が大幅に向上することを見出している。 しかしながら、上記水に難溶性の発光基質のハロゲン化水素塩は、生体内への投与のために、pHが中性付近の緩衝液に添加すると、水に難溶性の発光基質が析出してしまうという問題があった。また、上記水に難溶性の発光基質のハロゲン化水素塩をpHが約2の酸性溶液として、実験動物の生体内へ投与すると、生体内の細胞が適切に活動するためにpHが7.4前後で調節されている血液(細胞外液)のバランスが崩れる等の問題があり、実験動物への投与は可能であるが好ましくない。 そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、pHが中性付近の緩衝液への溶解性に優れ、ホタル生物発光系における発光基質として利用可能な新規化合物を提供することにある。本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の複素環を有する化合物が、ホタル生物発光系における発光基質として機能する上、pHが中性付近の緩衝液への溶解性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。 |
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